ガストとサイゼリヤを“九州に寄せ付けない”ジョイフル。「新規の出店を行わない」納得の理由
化学メーカーで研究開発を行う傍ら、経済本や決算書を読み漁ることが趣味のマネーライター・山口伸です。『日刊SPA!』では「かゆい所に手が届く」ような企業分析記事を担当しています。さて、今回はファミレスチェーン「ジョイフル」の業績について紹介したいと思います。
ジョイフルは「九州地盤のファミレス」であり、店舗の多くが九州に集中。その店名を聞いたことがあっても実店舗に寄ったことがない方も多いかと思います。東京23区に進出したのも比較的最近のようです。九州地区を制覇してからは全国展開を目指しましたが、厳しい市場環境に苦しめられました。そんなジョイフルの沿革、近年の業績について見ていきましょう。
ジョイフルは、実は業界3位の規模を誇ります。2023年初時点での国内店舗数ランキングは次の通りです(日本ソフト販売調べ)。
1位:ガスト→1,317店舗
2位:サイゼリヤ→1,073店舗
3位:ジョイフル→615店舗
4位:ココス→512店舗
5位:バーミヤン→355店舗
ジョイフルの特徴といえば何と言っても“ファミレスらしい”料理を提供している点です。業界他社を見るとサイゼリヤはイタリアンに特化し、バーミヤンは中華に特化しています。業界トップのガストも近年はやや凝った料理や「から好し」とのコラボメニューを提供するなど、ファミレスらしさはやや薄まった印象があります。
一方でジョイフルは古典的なファミレスメニューを提供し続けてきました。メニューを見ていくとステーキ・ハンバーグなどのグリル類やパスタ・グラタンなどのイタリアン、和食メニューや中華セットというように幅広いメニュー構成となっています。
ジョイフルの基盤になったのは、1976年に焼肉チェーンを展開する株式会社焼肉園ですが、1979年に大分県でオープンした「ジョイフル」1号店が好調だったため、ファミレスチェーンに転換したようです。
1980年に社名を株式会社ジョイフルに変更してからは九州を中心に店舗数を拡大。1993年には福岡証券取引所に株式を上場し、95年にはフランチャイズ展開を始め、ジョイフルとして100店舗を達成します。
ドリンクバーを開始した2001年には全社500店舗を達成し、2005年には700店舗を超えました。しかしその後は成長が鈍化し、東京23区内に初進出した2015年は全社764店舗に留まっています。
「九州地盤のファミレス」が業界3位に
市場の流れに乗って順調に拡大
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 Twitter:@shin_yamaguchi_
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