狭い日本の住宅こそ「鏡が絶対に必要」な理由。必須の設置場所とは
今、住宅系のYouTube界隈を騒がせている男がいる。動画チャンネル『ジュータクギャング』の押村知也だ。設計から建築、インテリアコーディネイトに至るまで住宅に関するすべてをこなす住宅のスペシャリスト「住空間クリエイター」である。歯に衣着せぬ彼の発言は、わかりやすくて痛快。『ジュータクギャング』は、更新のたびに視聴者の心をつかみまくっている。そんな押村は、「狭い日本の家にこそミラー(鏡)を吊れ!」と断言する。
鏡=ミラーがまったくない家はない。だが同時に、ミラーを効果的に使っている家もほとんどない。今回、押村は、住空間クリエイターとしての視点から、プロ仕様のミラー活用法を伝授する。「ほとんどの日本人はミラーの設置場所を考えたことすらない」と嘆く押村のミラー信奉とは?
「小さい日本の家にこそ大きなミラーが必要です。ミラーは空間の広がりを演出してくれます」。例えば、ダンスのレッスンスタジオなど、鏡張りの部屋は現実以上の広さを感じさせる。いわゆる反射による「抜け感」だ。しかし、日本の家にそれほどミラーをつける場所があるだろうか。
「まず玄関は必須です。僕がお客様に勧めているのは、シューズボックスが全面ミラータイプのものですが、壁につける形でもいいでしょう。玄関ミラーの主な目的は2つ。ひとつは玄関という空間を広く見せるため。もうひとつは靴を履いた自分の姿をチェックするためです。身だしなみのチェックは靴を履いた状態で行うことがベスト。上半身だけ、または靴を履いていない状態での身だしなみチェックは意味がありません。次にトイレ。これは、ゲスト用です。来客は洗面所を使わないケースもあるので、髪型や化粧などを確認する人のためにつけておくべきでしょう。外出先のトイレには、必ずミラーがあるのと同様です。あとは、流行りの玄関手洗いを導入する方は、ミラーをつけましょう」
意外と取りつける場所の多いミラー。もちろん各部屋にも置いておきたいところだ。
「主寝室は、クローゼットの横にミラーを設置する。子ども部屋は危険を避けるため、『立てる』タイプではなく『壁に吊る』タイプのものを選ぶ。そしてリビングダイニングです。新築される方は、大きなミラーを取り付ける位置を必ず事前につくってください。窓ガラスが多すぎると、当たり前ですがミラーの設置場所が確保できません。あらかじめ、ミラーの位置を想定しておきましょう」
なお、吊るタイプのミラーには下地が必要。設計の段階でミラーを書き込んでおかなければならない。
全身の身だしなみをチェックするのは靴を履いてから
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(おしむらともや)スタイラス所属。20代で建築、都市計画、インテリア、暮らしについてカナダ、アメリカで学び、輸入住宅などを手掛けるも挫折、住宅とは何かを見失う。大手ハウスメーカーや大手デベロッパーにコンサルティングして感じた「業界の嘘」と「都合の良い慣習」に納得できず、悪しき慣習にまみれた日本の住宅づくりからの逸脱が始まり、住宅業界の異端児となり、1000棟以上の建築設計を手掛ける。2022年7月にYoutubeチャンネル『ジュータクギャング』を開設。近著『美しい家のつくりかた』
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『美しい家のつくりかた』 1000軒の家を建ててわかったこと |
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