ライフ

「他人の家のゴミ袋をチェックする」迷惑老人。なぜか近隣住民から感謝されるようになるまで

 存在感を失いつつある町内会をはじめ、地域のつながりは希薄化し続けている現代。「向こう三軒両隣」で育った年配層と、プライバシーを重視する若年・壮年の世代間で、軋轢が生まれるのもやむなしだろうか。  某地方都市に住む稲尾恵さん(仮名・42歳)の近所には、“地域密着”系のトラブルメーカーがいたという。
老人

画像はイメージです

「他人の家のゴミ袋をチェックする」のが日課

近所に通称『秘密警察』の老人が住んでるんです。その人を仮に藤原さんとしますが、藤原さんはとにかくルールにうるさくて。燃えるゴミの袋に1つでもプラスチック製品が混じっていれば、さあ大変。即座に怒鳴り込まれてしまいます。捨てるところを監視するばかりか、ゴミ袋を開けてチェックするまでが日課なんですよ」    そんな藤原さんは、回覧板にも目を光らせる。 「持ち回り制の町内会の班長を、なんと藤原さんは10年以上も歴任。藤原さんが決めた日数までに回覧板が戻ってこないと、家々を回るんです。止めている家庭を見つけては『さっさと回せ!』と怒号を響かせます

警察に通報しても効果がなかった

 なかには神経質な監視に耐えかね、反発する家もあるが……。 「怒鳴り込んでくる藤原さんを警察に通報した家もありました。ですが、藤原さんに『俺はルールを守ってほしいだけだ』と熱弁されては、警察も注意することしかできなかったようなんです。なんの効果もありませんでしたね」  警察でさえ打つ手のなかった藤原さんの振る舞い。そこに雲行きを変える人物が突如として現れる。 「うちの隣に築年数が半世紀以上経つアパートがあるんですが、そこに中年女性が引っ越してきたんです。ガリガリに痩せていて猫背で、第一印象は『カマキリ』。ゴミ捨て場で会った時などに挨拶しても、決まって無視でした。いつも同じワンピースを着て、町中を早歩きで歩き回っていて……。完全に謎の人物でしたね」
次のページ
なぜか盗難が頻発するように…
1
2
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め
記事一覧へ
おすすめ記事
ハッシュタグ