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「荷物と俺たちの命、どっちが大切なんだ」42歳トラック運転手が語った“物流業界の闇”。台風に伴う高波警報が出ても…

 今年4月からドライバーの労働時間に上限が設けられる。ドライバーの過重労働を軽減する目論見がある一方、賃金減少や離職、それに伴う物流の混乱が予想される。改革を前に、当事者は今何を思うのか? 現場の声を拾った。

物流業界は3次請け4次請けが当たり前

物流[2024年問題]の闇

※写真はイメージです(以下、同じ)

 ドライバー歴22年の杉野明さん(仮名・42歳)が勤める運送会社の大荷主は、とある大手企業。そこで製造される製品の配送から原材料の調達まで一手に担っている。 「少なくとも一日13時間は拘束され、休みは週1日程度。年収は500万円ほどですが、時給換算すると1400円程度にしかならない」と嘆くが、それには理由がある。 「中抜きです。配達を依頼する大荷主と僕らの間には、配達ルートの設定やトラックの手配を行う管理会社が入っていて、マージンが差し引かれます。結果的に僕らドライバーの人件費が安くなるわけです。僕の勤め先も慢性的にドライバー不足で、業務がキャパを超えていたら、ほかの会社に仕事を回すことも。この業界は3次請け4次請けは当たり前ですよ」

人命より荷物優先!? ドライバーの人権無視

物流[2024年問題]の闇 杉野さんが配送する製品は、コンビニの棚に必ず陳列されている生活必需品。そのため、物流が滞らないようシビアな配送依頼が多いという。 「台風が上陸して高波警報が出た日も、港まで原材料のピックアップに行かされました。たまりかねて『この荷物と俺たちの命、どっちが大切なんだ』と抗議しても、向こうは機械的に『運んでください』と言うだけ。管理会社は大荷主しか見えていないんです」  杉野さんは、4月から始まる時間外労働の上限規制にも危機感を覚えている。 「上限の960時間以内を厳守したら、今の個数は絶対にさばけない。24時間コンビニに商品が並んでいる環境が、いずれ当たり前ではなくなるはず。管理会社にも『今まで通りには運べない』と何度も伝えていますが、反応は薄い。とはいえ、4月以降上限規制を破れば、営業停止処分を受けるリスクも高くなるし、本当に死活問題ですよ」  2024年問題は運送会社の努力だけではどうにもならないのだ。 <取材・文/週刊SPA!編集部 写真/123RF Shutterstock>
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