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宇多田ヒカル「First Love」が古くならない理由。発売から25年、Netflixドラマを機に若者からも支持

24年ぶりの「First Love」歌唱が話題に

宇多田ヒカル

「First Love」宇多田ヒカル/ユニバーサルミュージック

 デビュー25周年を記念した全国ツアー、初のベスト盤『SCIENCE FICTION』の発売で盛り上がっている宇多田ヒカル。4月8日放送の『CDTV ライブ!ライブ!』(TBS系)では24年ぶりに1999年の大ヒット曲「First Love」をテレビで歌い、話題を呼んでいます。  2022年には同曲と2018年の「初恋」をベースにしたNetflixオリジナルドラマ『First Love 初恋』が制作されるなど、いまも強い影響力を持つ一曲です。

リバイバルヒットした曲と「First Love」が異なる点

 このように、近年では昔のヒット曲がリバイバルヒットしています。たとえば、TikTokでバズった槇原敬之の「もう恋なんてしない」。ヒップホップ風にアレンジされたダンス動画が流行ると、そこから「歌詞が刺さる」と中高生の間で人気になりました。  海外では、ドラマや映画の印象的なシーンで使われるパターン。NetflixのSFホラー『Stranger Things』のシーズン4で流れた、ケイト・ブッシュ1985年のヒット曲「Running Up That Hill」。そして、Amazonプライムのオリジナル映画『Saltburn』で流れたソフィー・エリス・ベクスターの2001年のシングル「Murder on the Dancefloor」が世界的に大ヒット。ケイト・ブッシュとは違い、発売当時はほとんど知られていなかった楽曲が映像とネットの力で日の目を見る、まさしく現代的な売れ方でした。  しかし、宇多田ヒカルの「First Love」は、上記のいずれとも異なるように感じます。良い意味で、懐かしさが全くないからです。ネタ的に消費されることも、別の文脈、角度から再評価されることもない。曲全体が、そのまま良い状態で生き続けている。発売当初のフレッシュさを保ちながら、時の流れに耐えうる重みがあるのですね。  原曲からキーを半音落とし、シンプルに削ぎ落としたフレージングで生まれ変わった『CDTV』でのパフォーマンスから、この曲の持つ強さを再認識しました。
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「First Love」が“古く”ならないのはなぜか?
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音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4

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