娘の世話を一切しないのに「親権をよこせ」と言う妻。破綻した夫婦が下した“至極当然の結論”
文部科学省が公表した2022年の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」に驚くべき数字が含まれています。具体的にいうと小学校、中学校で不登校の生徒が30万人(299,048人)に達する勢い。これは前年度から、たった1年で22.1%(54,108人)も増えており、当然のことながら過去最多です。しかも全生徒に占める割合は3.2%に及びます。
次に不登校の理由ですが、最も多いのは無気力、不安(51.8%)ですが、筆者が注目しているのは親子の関わり方(7.4%)、家庭内の不和(1.6%)。つまり、家庭の事情で学校に通えなくなったケースもあるのです。
今回、紹介する相談者・宮田玲央さん(仮名)の娘(9歳)もそんな一人。玲央さんの妻は性格の振れ幅が大きく、娘さんに干渉したかと思えば、今度は放棄したり……娘さんは母親が自分に愛情があるのかどうか分からず、苦しみ、悩み、傷ついた結果、心身のバランスを崩し、昨年の夏休み明けに学校へ通えなくなってしまったのです。
夫婦が離婚する場合、どちらが子どもを引き取るのかを決めなければなりません(民法819条)。これを単独親権といいますが、将来的には共同親権(離婚しても元夫婦が一緒に子どもを育てる。2026年の予定)が決まっています。しかし、現在の制度では両親の離婚によって、どちらかの親を失うことになります。
これはまだ小さい子どもにとって辛い経験ですが、玲央さんはそれでも娘さんを妻から引き離すため、離婚しようと動き出したのです。昨年9月、玲央さんが筆者の事務所を訪れたとき、傍らには筆者の著書が置かれていました。しかも、ふせんがびっしりと貼られており、玲央さんの本気度が伝わってきました。
玲央さんが第一声で「こんなこと言いにくいのですが、娘が『おもらし』をしてしまって……」と恥ずかしそうに言いますが、娘さんはすでに9歳。「よほどのこと」がなければ、おもらしをしない年齢。娘さんが幼児返りしてしまうほどの出来事とは一体、何なのでしょうか?
<相談者の属性(すべて仮名)>
夫:宮田玲央(38歳・会社員・年収400万円)
妻:宮田杏奈(34歳・会社員・年収350万円)
長女:宮田里奈(9歳・小学生)
なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。夫婦の年齢や性格、家事や育児のやり方、子どもの不調の症状や原因などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。
「スマホが欲しい」と頼む娘、「まだ早い」と諭す父。これはどこの家庭にもある一つの光景ですが、その日の娘さんは「パパなんて大嫌い!」と大声で叫び、泣き出し、家を出て行ってしまったそう。玲央さんの家庭では万が一のときに備え、娘さんのパスモに少々の残高をチャージしておくのですが、娘さんはそのパスモを使ってバスや電車に乗って、どこかへ行ってしまったのです。
玲央さんは急いで後を追おうとするのですが、妻はいっこうに動こうとせず。韓流ドラマをテレビで見ながらポップコーンをむしゃむしゃと食すのです。玲央さんが「早く行かないと見失っちゃう!」と促しても、妻は我関せずという感じ。「そのうち、帰ってくるでしょ!」と突き放すのです。筆者が「奥さんはなぜ動かないのですか?」と尋ねると、玲央さんは「娘の家出は今回が初めてではなく、何度も同じことを繰り返しているんです」と答えます。
なぜ9歳の娘は不登校になってしまったのか
家を出て行く娘をスルーする妻
1980年生まれ。国学院大学卒。行政書士・FP。男の離婚に特化し開業。6年目で相談7千件、「離婚サポートnet」会員は6千人を突破。「ノンストップ」(フジテレビ)、「ホンマでっかTV」(フジテレビ)、「市民のミカタ」などに出演。著書は「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷)など11冊。
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