「セックスレス」と「妻の不倫」、離婚の原因で多いのは…「家庭内別居」の38歳男性会社員の実体験
突然ですが、「妻の不倫」で別れたい夫は離婚全体の何割だと思いますか?
法務省の司法統計(2020年)によると離婚の原因(離婚申し立ての動機別割合)が異性関係のケースは13.7%(夫の場合、全体が15,500件、異性関係が2,132件)なので10人に1人の割合です。一方、性的不調和を挙げたのは11.2%(1,749件)。このなかにはセックスレスも含まれるでしょう。
一方、妻が離婚の原因として性的不調和を挙げたケースは6.4%(全体が43,469件、性的不調和が2,808件)。つまり、妻とのセックスレスで離婚したい夫は、夫のセックスレスで離婚したい妻の2倍もいる計算です。もちろん、裁判所へ申立てをせずに離婚する人もいるので、この数字がすべてではありませんが、一つの目安にはなるでしょう。
「レス不倫」を描いた漫画がドラマ化されるたび、大きな反響がある印象です。レス不倫とはセックスレスの夫婦のどちらか、もしくは両方が不倫をすることです。例えば、2024年の「1122 いいふうふ」、2023年の「あなたがしてくれなくても(以下、あなして)」、そして少し前ですが、2017年の「あなたことはそれほど(以下、あなそれ)」などです。
いずれも主人公は女性(人妻)で夫とはセックスレス。そして夫以外の男性に惹かれるのですが、これらに共通するのは彼女たちが不倫の落とし前をつけていないこと。責任の取り方としては謝罪、離婚、そして慰謝料の支払いなどがあります。
まず「1122」の場合、不倫は「公認」という約束事だったので、一子(演:高畑充希)は女性用風俗に行ったことを「必要だった」と言い、夫に対して謝罪しません。最終的に夫婦は離婚に至ったものの、その理由はあくまで性格の不一致です。
次に「あなして」の場合、ミチ(演:奈緒)はそもそも夫に不倫のことを知られておらず、やはり性格の不一致で離婚しています。
そして「あなそれ」の場合、美都(演:波瑠)は「夫は二番目に好な人」「一番好きなのは彼(不倫相手)」と開き直り、夫のストーカー癖から逃れるために離婚しました。
法律上、不倫はどのような扱いなのかというと、離婚の原因として認められており(民法770条)、夫に与えた精神的苦痛の対価として慰謝料を支払わなければなりません(民法709条)。しかし、いずれのドラマも妻が慰謝料を支払った形跡はありません。不倫という罪に罰が科せられないと、不倫が美化されることが懸念されます。
夫婦がセックスレスなら夫も相応に悪いから、妻は慰謝料を払わなくてもいいのでしょうか。筆者は行政書士、ファイナンシャルプランナーとして日夜夫婦の悩み相談にのっていますが、今回の相談者・光輝さん(仮名・38歳・会社員)は結婚7年目で子どもはいません。しかし、妻(32歳・会社員)と3年間、セックスレスの状態でした。さらにスキンシップだけでなくコミュニケーションも少なくなってしまい、妻との関係に悩んでいました。現実の世界は漫画やドラマの世界と同じなのかーー順番に解説しましょう。
なお、本人が特定されないように実例から大幅に変更しています。また夫婦の年齢やセックスレスの原因、不倫の証拠や離婚の経緯などは各々のケースで異なるのであくまで参考程度に考えてください。
反響大の「レス不倫」ドラマ
「3年間セックスレス」の38歳男性会社員のケース
1980年生まれ。国学院大学卒。行政書士・FP。男の離婚に特化し開業。6年目で相談7千件、「離婚サポートnet」会員は6千人を突破。「ノンストップ」(フジテレビ)、「ホンマでっかTV」(フジテレビ)、「市民のミカタ」などに出演。著書は「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷)など11冊。
公式サイト
X:@yukihiko55
ブログ:法律でメシを食う若造のブログ
Facebook:yukihiko.tsuyuki
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ