宮崎駿「ナウシカは出すな」 ミニチュア特撮映画で巨神兵が大暴れ
⇒ 【画像集】 グロテスクな巨神兵の迫力
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展覧会には、昭和の怪獣映画を支えた貴重なミニチュアや、当時の図面と素材で職人が作ったレプリカが展示される。そして、ミニチュア以上に熱い注目を集めているのは、スタジオジブリが手がける特撮短編映画『巨神兵東京に現わる』だ。企画は庵野秀明、監督は樋口真嗣。CG一切なしでミニチュア特撮のみで撮影されるという。『風の谷のナウシカ』の巨神兵の利用について、原作者の宮崎駿氏は「ナウシカは出すな」と釘をさしたうえで承諾したそうだ。
特撮の魅力について、庵野氏は「特撮は現実空間に異物を紛れ込ませられる唯一の方法」、樋口氏は「本物じゃないものを本物にみせることがやりがい。本物よりも本物らしくなることもある」と語った。完成された作品もだが、撮影に使われたミニチュアや解説なども展示されるので注目だ。
そして、気になるのは巨神兵のビジュアルとポスターのメインコピー、
「エヴァの原点は、ウルトラマンと巨神兵。」
『エヴァ』と入れたのは鈴木氏。「特撮には一定のファンはいるが、色んな人に来てもらうためには、強烈なコピーがいい」と、ジブリを支える敏腕プロデューサーぶりをみせた。 ちなみに、2010年に発売されたブルーレイ版『風の谷のナウシカ』には、特典映像として、庵野氏と鈴木氏の対談『ナウシカとエヴァンゲリオン! 巨神兵の行方は?』が収録されている。鈴木氏は、発売時に行われた発表会で「エヴァンゲリオンは巨神兵」との解釈を披露し、庵野氏が「30年近く巨神兵に取りつかれてた」とまで言及していた。庵野氏が『風の谷のナウシカ』で原画マンとして参加していたことも考えると、今回の展覧会での巨神兵の起用、メインコピー&ビジュアルに反映されたのは、必然と言えるだろう。
ミニチュアで再現された東京で巨神兵がどの様に暴れるのか、なぜ暴れるのか、今から楽しみである。今年の夏は、館長庵野秀明が仕掛ける『ミニチュア特撮保管計画』に注目だ。
『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』は、7月10日から10月8日まで東京都現代美術館で開催される。 <取材・文・撮影/林健太>
この夏、東京現代美術館にて特別展『館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技』が開催される。5月10日には六本木・ニコファーレで発表会見が開かれ、館長を務める『エヴァンゲリオン』の庵野秀明氏、副館長の樋口真嗣氏、スタジオジブリの鈴木敏夫氏が登場した。ミニチュア特撮は、CGに追いやられ、職人も過去のセットも失われつつある。庵野氏は、そんな時代だからこそ、ミニチュア特撮の魅力を後世に伝えることに使命を感じたという。
『風の谷のナウシカ(ブルーレイ版)』 庵野氏と鈴木氏の対談『ナウシカとエヴァンゲリオン! 巨神兵の行方は?』収録 |
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