「世耕議員の発言」とされる情報の真偽とは?
生活保護問題についての議論が加熱する中、自民党の生活保護プロジェクトチームの世耕弘成氏の発言だとして次のようなツイートが出回っている。
“世耕弘成(自民党、参議院議員)「貧困の再生産など起きない。彼らは子供さえ持てないからいずれいなくなるだろう」 2006年9月12日(火)発売の週刊SPA!2006年9月19日号 (49ページ)のインタビューにて、格差社会の負け組みについて”
なんとWikipediaにも掲載されているというから驚きだ。
世耕氏はTwitter上で、この発言について否定。SPA!編集部も、Twitter上で「捏造ですか?」などと言われたので、まさかそんなことはあるまいと過去の記事を検証してみた。
当該ツイートに書かれている2006年9月19日号の49ページの、おそらくこの箇所かと思われる。
【拡大画像】はこちら⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=221381
当時流行していた下流社会について論じた特集内で、「下流社会」の名付け親である評論家の三浦展氏が「自民党の某議員」の発言としてコメントしているだけで、世耕氏の名前は一文字足りとも出ていない。
こちらのまとめ「【世耕弘成?】自民党の某議員「貧困の再生産など起きない。彼らは…」コピペまとめ【片山虎之助?】」によれば、2ちゃんねるなどにこの発言がコピペされたのが、本誌発売直後の2006年9月。この時点では、まだ「自民党の某議員」とするだけだったようだ。
それが2007年1月頃から当時自民党だった片山虎之助氏の発言とする改変パターンが加わり、2007年7月頃に世耕氏の発言とする改変パターンが加わったようである。
もちろん、実在政党の議員の発言としてソース不明の情報を載せてしまった弊誌にも落ち度はあるのだが、初出では世耕氏の名前は一切出ていない。よって、このありもしない発言をもってして世耕弘成議員を非難するのはまったくもってお門違いなのである。
生活保護問題についての議論は本誌としてももちろん様々な思いはある。
しかし、だからこそ制度的な不備については冷静な議論が必要であると考えている。
世耕氏や片山氏を批判する側も、河本氏を批判する側も、粗探しやソース不確かな流言をソースに誰かを叩くなどということは、建設的な議論には繋がらないと考える。
困っている誰かを救おうとする制度を整えることに、誰かを叩いていいなどという筋合いはないのだから。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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