30代は[逮捕]の危険年齢【その4】
―[30代は[逮捕]の危険年齢]―
実例 犯罪を起こしたサラリーマンはどうなる?
【特定商取引法違反】入った会社が悪徳商法。まさか前科がつくとは……
「ようやく見つかった再就職先が布団の訪問販売の会社。まさか自分が悪徳商法に加担することになるとは思ってもいませんでした」
そう話す光岡武史さん(仮名・36歳)が逮捕されたのは7年前。特定商取引法違反の容疑だった。
「仕入れ値1万円程度の布団一式を40万~60万円で高齢者に売りつけるんです。心配になって社長や上司に尋ねても『ウチは多少押しが強いが違法ではない』って言うんです。それを聞いてギリでセーフだと思いたかったけど、結果的にはやっぱりアウトだった(苦笑)」
だが、下っ端の社員だったことが幸いして罪は同僚より軽かった。
「それでも懲役1年の執行猶予3年、罰金10万円でした。それに公判まで2か月間勾留されてキツかった。体重は5kg減ってスリムになったけど二度とご免ですね」
その後、再び就職先を探し始めるが逮捕歴が思わぬ足かせとなる。
「ある会社の最終面接に残りながら『前科者は雇えない』と言われてダメになったんです。そこは大手企業の子会社で面接を受ける人の身辺調査を実施しており、それで逮捕のことがバレたみたいです」
結局、見つけた仕事は小さな健康食品会社の営業マン。しかし、前職のクセで強引に売りつけたくなることもあり、「自分を抑えるのが大変だった」とか。また、この頃に交際していた女性と結婚、1児の父となったが、逮捕された過去は未だに打ち明けていない。
「できれば秘密は墓まで持っていきたい。実は、今は脱サラして居酒屋を経営しているのですが資金を出してくれたのが義父なんです。このタイミングで言っても関係がこじれるだけですから。すべて悪いのは自分ですが、この幸せを逃したくはないので……」
オーナー兼店長として仕事熱心で従業員の信頼もある。とはいえ、逮捕という2文字はあまりに大きなトラウマだ。
「別に悪い事をしていないのに道路で警察の検問とかあると変な汗が流れ、動揺してしまうんです」
イラスト/清野とおる
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