拡張現実を使ってバカをやる謎の三兄弟
―[「バカ」を武器に成功する!]―
高い広告費をかけなくても、アイデアひとつのバカなネタがウケて拡散し、大ヒットを遂げる時代。躍進を見せるバカ賢人にインタビューするとともに、バカ発想法を聞き出した
◆仕事と遊びも、夢と現実も境界を越えて遊び倒す!
【AR三兄弟川田十夢氏】
未来開発ユニット・AR三兄弟の長男。ALTERNATIVE DESIGN++主宰。AR(現実拡張)技術を駆使し、様々な題材をマッシュアップしてメディアの可能性を拡張中
人が知覚する現実をコンピュータで拡張する技術「AR」(Augmented Reality)。広告業界で注目されている技術で、カメラをかざすと実際の景色の上に文字や画像が表示される「セカイカメラ」が、ARを使ったアプリとしては有名。そんな最新技術をAR三兄弟の長男として広めているのが川田十夢氏。
「ARを説明するとき、僕は実際にカクメットからビームを出したり、ノートから鳩を出したりして、『今のがARです』と話します。そして、『ドラゴンボール』のスカウターも、『ジョジョの奇妙な冒険』のスタンドも、いわばARだと言っちゃう。ARって、実は漫画の世界とかで、みんながすでに知っているものなんですよ」
ARとさまざまな題材を組み合わせて、笑えるコンテンツにするのが川田氏の得意な手法だ。
「プログラムでボケるとか、僕は笑いが不要なところでバカをするのが好き。難しい技術を使った作品も、『メディアアート』的な額縁に入れずにボケとして提示すれば、一般の人でも楽しめるんです。ARに俗っぽい三兄弟という言葉を足したのも、ライブのように自分が作ったシステムをパフォーマンスとして披露するのも、作品を広く届けるための工夫です」
最近では、ABC朝日放送の60周年記念特別ドラマで広告を手がけるなど、大手企業からも注目を浴びているAR三兄弟。また、仕事と遊びの境目がないだけでなく、「自分は現実と夢の境目もない」とも。
「人の作品を見ると、自分が作った気になっちゃうし、『どう作るんだっけ?』と考えて、そこから自分で何か作ることも。アニメ『東のエデン』の世界を現実にした宣伝もそうして生まれました。『ドラゴンボール』のかめはめ波をやりすぎて手にタコができるような子供でしたが、好きな世界に夢中になり遊び倒すのは今も同じ。『ドラクエIII』で遊び人だけが『悟りの書』なしでも賢者になれるように、賢者への近道は遊び人になることだと思います」
またバカになるには「身の丈は知っておいたほうがいいけど身の程は知らなくていい」とも。
「僕は荒木飛呂彦さんやユニコーンなど憧れの人に自ら会いに行き、『僕も向こうに影響を与えたい』と作品も見せました。マキタスポーツさんが『何かに夢中な人はボケ』と言ってますが、やっぱり自分で自分にツッコミを入れたらダメ。身の程知らずで突き抜けた存在になれば、周囲からチヤホヤされるバカになれるはずです」
【バカ格言】
『身の丈は知っても身の程は知らないバカであれ』
― 「バカ」を武器に成功する!【4】 ―
『バカが武器』 バカとハサミは使いよう |
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