知られざる「真のオバマ・ショック」の恐怖
「米大統領戦後にバブル破裂が起こる!?」(https://nikkan-spa.jp/318469)というコラムですでに書いています。
<資料1>のように、米株は米景気で説明できる以上の株高、すなわち「バブル」の可能性があります。その「破裂」は、確かに警戒する必要があるのではないでしょうか。
※<資料1>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=327110
では、なぜ米株「バブル」になっているのか。それは<資料2>が示すように、米金利が景気で説明できないほどの下がり過ぎになっている影響ではないかと私は考えました。つまり、米金利低下と米株高は「バブルのセット」ではないかと私は考えています。
※<資料2>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=327111
話をもう一度、「財政の崖」へ戻しましょう。まだそれが回避されるかはわかりませんが、その結果、当然回避された後についてはさらにイメージがないのではないでしょうか。早すぎるかもしれませんが、「崖」回避後は何が起こるか。米国の経済成長は足元の2%台から3%台へペースアップするとの見方があります。
この3%成長といった「バラ色のシナリオ」となったら、当然米長期金利は最近のような1%台ということはないでしょう。急上昇する可能性もあるのではないでしょうか。そうなったら、低金利「バブル」前提の米株高「バブル」は果たしてどうなるか?
私は、「崖」をきっかけとした「オバマ・ショック」より、むしろ「崖」回避の見通しとなってきたときにこそ、”真のオバマ・ショック”が要注意ではないかと思っているのです。(了)
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
世界が注目する米大統領選挙は現職オバマ大統領の再選となりましたが、それが決まった7日のNYダウは300ドル以上の急落で、さながら「オバマ・ショック」の様相となりました。いわゆる「財政の崖」への懸念とされますが、実は本当に心配な”真のオバマ・ショック”はちょっと違うものではないでしょうか。
◆「財政の崖」が真の恐怖なのか!?
「財政の崖」懸念というのは、大型減税の終了などにより、何もしなければ年明けから急激な財政引き締めが行われることになるため、米景気にあたかも「崖」から転げ落ちるかのような凄まじい下押し圧力になるという意味です。
ただでさえ景気によい話が少ないところで、なぜそんな深刻な悪材料が残ったままになっていたかといえば、米国の政治が、民主党政権、共和党多数の議会といった具合に、政権と議会の「ねじれ現象」でなかなか合意できなかったことが理由でした。
今回の大統領選挙では、オバマ再選、そして議会も下院は共和党多数といった具合に、「ねじれ現象」は変わりませんでした。このため、この先も「崖」回避は難しそうだとの懸念から、オバマ再選に冷や水を浴びせたような11・7株急落になったとの解説が多かったようです。
ただ、選挙前に、「ねじれ」解消で「崖」回避の期待があったかというと、それも疑問ではないでしょうか。途中までは歴史的大接戦とされたものの、選挙が直前に近づいたところで起こったハリケーンが、「危機には指導者の支持が高まる」という影響もあったのか、選挙直前になると「オバマ優勢」が一般的な見方になっていたようです。
オバマ優勢、それは言い換えれば、「ねじれ継続」、その意味では「崖回避困難」ということでしょう。それが一般的見方になっていたとして、結果的に確認したからといって新たに金融市場が反応するものでしょうか。
◆大統領選挙後の「バブル破裂」とは!?
私は、決して米株「オバマ・ショック」は杞憂と言っているわけではありません。「崖」が理由ではない、”別のオバマ・ショック”は、むしろ要注意ではないかと思っています。それについては、10月26日付け
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