「雑用はスルー」する技術を磨け
アラフォーサラリーマンの後輩不足が深刻な社会問題となりつつある。35歳過ぎてもコピーやお茶出し、上司のお世話…。雑用に追われ、仕事のスキルが身につかず、転職もままならない……。SPA!ではこれまで、そんな「後輩不足」のさまざまな事例(https://nikkan-spa.jp/381350)を紹介してきたが、この不幸をどうやって乗り切っていけばよいのか? 実際に後輩不足に悩まされるアラフォーサラリーマンと、第一生命経済研究所の永濱利廣氏、人材紹介会社キープレイヤーズ代表の高野秀敏氏にその処方箋を聞いた。
まず、短期的な処方箋として一番多かった意見が「転職のためのスキルアップ、資格取得」。「情報システム系の資格勉強は常にしている」(35歳・SE)、「資格取得のための社内制度はフルに活用している。会社に貢献したいというより、転職のため」(37歳・広告)と、スキルアップに励む人は多い。
だが、永濱氏は「資格がわかりやすく転職に有利に働く職種ならいいですが、そうでないと、下っ端仕事しかしていない人が転職するのは難しい。よほど専門的な技術を持っている人以外はあまり考えないほうがいいかもしれませんね」と指摘する。
続いての処方箋は「雑用をスルーする力を身につける」というもの。「社内の打ち合わせ用書類作りや、上司が思いつきで言ったことを企画書にまとめたり……。こういった雑務は、スルーしてやらなくても支障が出ないことがほとんど」(41歳・PR)、「絶対やらないといけない雑用と、やらなくてもいい雑用を見極めるのが大事。
何でも無視していたら評判も悪くなるけど、ある程度のスルーは自己防衛」(38歳・メーカー)といった意見が挙げられた。究極のその場しのぎと言えなくもないが、雑用仕事による過労を避ける極めて実用的な方法でもある。
【高野秀敏氏】
転職斡旋を専門とするキープレイヤーズ代表。企業コンサルタント。大手人材派遣会社インテリジェンスを経て独立し、現在に至る
【永濱利廣氏】
第一生命経済研究所主席エコノミスト。近著に『スクリューフレーション・ショック』(朝日新聞出版)、『男性不況』(東洋経済新報社)
イラスト/サダ
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