次の大きな変化は「良い金利上昇」急激バージョン
<資料1>は、日米欧のCDS指数。先進各国への信用を示す指標の一つです。このCDS指数は、最近にかけて低下が進み、日米欧いずれも2011年8月以前の水準に低下してきました。これは各国への信用リスクが、2011年8月以前に改善してきたことを示しているわけです。
※<資料1>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=389942
2011年8月には米国債デフォルト騒動がありました。これを前後し、その後、欧州債務危機が深刻化したこともあって、リスク回避が世界的に拡大に向かったわけです。その中で、「安全資産」として、日米欧、先進各国の国債への資金シフトが急拡大するところとなりました。
<資料2>は、代表的な米景気指標(ISM製造業景況指数)と米金利(長期金利からインフレ率を引いた実質長期金利)のグラフを重ねたもの。最近にかけて、異例なほどに米景気で説明できない米金利低下となっていたことがわかりますが、これが目立ってきたのはまさに2011年8月前後からだったのです。
さて、先進国への信用が2011年8月以前に改善してくると、リスク回避も2011年8月以前に戻っていく可能性は注目されるでしょう。ちなみに、米長期金利は、2011年7月末には2.8%でした。異例のリスク回避が正常化に向かうなら、米長期金利は基本的に2.5%を大きく超えていく見通しになるわけです。
※<資料2>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=389942
アベノミクスのお陰かどうかはともかく、この数か月で円安、株高が大きく進み、経済の風景は一変しました。ただこれだけではなく、次に来る大きな変化は、今回ご紹介した金利急騰シナリオではないかと私は考えています。
実際に金利急騰が始まると、アベノミクスの副作用による「悪い金利上昇」懸念が広がるかもしれません。ただ私が想定しているのは、2011年8月以降の行き過ぎた悲観論の修正に伴う動き、つまり「良い金利上昇」だと考えていますが、果たしてどうでしょうか。(了)
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
円安、株高とこの数か月で経済情勢は一変しました。ただ変化はこれだけではないでしょう。次に来る大きな変化は世界的な金利の急騰ではないでしょうか。ただそれは、アベノミクスの副作用、インフレ懸念を受けた「悪い金利上昇」ではないはずで、あえて言えば「良い金利上昇」の急激バージョンになるのではないでしょうか。
◆「アベノミクスの副作用」にあらず!?
実は、最近にかけて日米欧、先進国に対する信用が、2011年8月以前に改善してきました。この2011年8月には、米国債デフォルト騒動という「事件」があり、それを前後した世界的なリスク回避の拡大で、景気での説明を超えた金利低下が広がったのです。
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