ビジネス書の“溢れる熱い言葉”に辟易
マンション広告のキャッチコピーからラーメン屋の社訓(?)まで、最近目につくポエム的フレーズ。やたら大げさすぎたりして、何が言いたいのかわからなくなってる例も多数あり。そんな巷にあふれるポエム化現象を徹底リサーチ。いや、マジで意味不明っス……。
◆ビジネス書編
まずは、先の参院選で初当選を果たしたワタミ創業者の渡邉美樹氏から。「夢は追い続けるかぎり、必ず途切れるもの。それはそれでよし。夢半ば、夢成就なり、なのである」(『きみはなぜ働くか。』・以下同)とは、人間いつかは死ぬんだから夢を見続けても半ばで終わる……ってこと? でも「夢に日付を(略)そのことを実行して、私はワタミの社長になった」って、何か矛盾している気が。また「天国と地獄は同じ場所である」「働くだけでは、ロボットと同じじゃないか」「きみの心の中に『ありがとう』はあるか」など路上ポエム系のフレーズも満載だ。
対して、オラオラ系のドヤ顔ポエムということでは、幻冬舎社長・見城徹氏とサイバーエージェント社長・藤田晋氏の共著に注目。
「ふもとの太った豚になるな 頂上で凍え死ぬ豹になれ」「顰蹙は金を出してでも買え」「小さなことにくよくよしろよ」(『憂鬱でなければ、仕事じゃない』)などいちいち暑苦しい。「ワインは、働く男の『血』である」(同)と悪酔いしそうなフレーズも頻発。そもそも2人の共著には『人は自分が期待するほど、自分を見ていてはくれないが、がっかりするほど見ていなくはない』と、題名からしてポエムっぽい本も存在する。
一方、近年話題のノマド界隈でアイコン的にもてはやされている安藤美冬氏に目を向けると「正解や決められたやり方を持たない今の私は、同じことをする日はなく、毎日が『冒険』のようです」(『冒険に出よう』)と、うっとり自己陶酔ワールドに出発してるし。
そして極めつきは、経営コンサルタントの神田昌典氏が記した煽り系自己啓発本のロングセラー『非常識な成功法則』だ。「一万円札を見たら、その色に感動する。その香りを嗅ぐ。お札の質感を楽しむ。『あぁ、お金っていうのは、なんて神々しいんだろう』とお札を愛でるのである。私はお金が大好きだ」って……ポエムというにはちょいと生臭すぎかもね。
イラスト/カネシゲタカシ
― [ポエム化する日本](驚)症例報告【6】 ―
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