更新日:2013年10月21日 09:12
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2020年までに新宿歌舞伎町は“浄化”されるのか?

長年の誘致活動が実のり、2020年の東京オリンピック開催が決定した。8年間で3兆円という膨大な経済効果も期待され、明るい話題ばかりだ。しかし、その陰ではさまざまなものが排除される“浄化作戦”がこっそりと進行していた! ◆東京都の“浄化作戦”で、風俗店や不法滞在者の大規模摘発が行われる?  大きなイベントがあるたびに取り沙汰される新宿・歌舞伎町の“浄化作戦”。多くの外国人客が訪れる東京五輪でも、風俗店や不法滞在者の大規模摘発が予想されている。  五輪開催地を決めるIOC総会の6日前、早くもその動きがあった。9月1日、歌舞伎町から“客引き”が消えたのだ。夜の歌舞伎町では、歩くのも困難なほど大量の客引きに囲まれるのが当たり前のはず。写真家の権徹氏は驚きを隠さない。 「街を歩いてもまるで客引きを見かけないんです。16年間毎日歌舞伎町を撮り続けてきた私にとって、はじめての経験でした。ちょうどこの日から新宿区では『客引き防止条例』が施行されています。前日には区長を先頭に、条例施行をPRするパレードが行われました。五輪招致に向けて、内外に安全への取り組みを示そうとしたのでしょう」 「客引き防止条例」は、これまで規制されていなかった居酒屋やカラオケ店にもその対象を広げ、客引き行為そのものを全面的に禁止する条例だ。歌舞伎町もこれで一変するのか、と思いきや、この話にはオチがあった。 「歌舞伎町から客引きが消えたのは、9月3日までのたった3日間だけでした。翌4日からは、何事もなかったかのようにまた客引きであふれ返ったのです。それもそのはずで、新宿区の条例には罰則がない。警察や指導員がパトロールして“指導”できるだけです。結局、五輪招致のパフォーマンスでしかなかったんですよ」  これまでも石原都政の“浄化作戦”で、裏風俗や裏DVD店、暴力団、不法滞在者などの摘発が盛んに行われてきた。東京都迷惑防止条例の改正も行われ、風俗店などの客引きは厳しく規制されるようにもなった。これらの作戦には、意味がなかったのだろうか。 ⇒【写真】前回の五輪招致で行われた歌舞伎町の“浄化作戦”
https://nikkan-spa.jp/516657/bk2_131008_07
◆ “浄化”できないことを行政も知っている 「確かに、’04年頃から始まった“浄化作戦”には効果がありました。特に韓国デートクラブや韓国人の不法滞在は激減しましたね。ただし、彼らは韓流ブームに乗って大久保に流れていっただけです。その分、今は中国人が激増しています。都の迷惑防止条例で客引きが減ったかというと、そんなことはありません。逆にこの10年で1.5倍ぐらいに増えたように感じます。客引きと警官がじゃれ合う光景も日常的。行政は本気で歌舞伎町を“浄化”するつもりもないし、できないことを知っているんですよ。『弱い犬ほどよく吠える』ということわざがありますが、だからこそ浄化、浄化と騒いでいるのです」  では、五輪開催に向けて魅力ある歌舞伎町にしていくためにはどうすればいいのだろうか。 「去年オープンした“ロボットレストラン”など、歌舞伎町には外国人客をひきつけるものがあります。でも、それは行政がどうこうできる話ですかね。歌舞伎町を真っ白な街にすることはできないし、そうすれば魅力もなくなってしまいます。ちょっとボッタくられても、授業料だと割り切る大人の態度も必要。そもそも、裏風俗目当ての外国人なんかほとんどいませんよ。少女売春や麻薬などは徹底的に取り締まるべきですが、やはり歌舞伎町は“大人の街”であり続けるべきだと思います」 写真/権徹 ― 東京五輪の陰で進む“浄化作戦”【3】 ―
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