海外の公衆無線LAN事情はどうなっている?
五輪開催決定など、訪日旅行者の増加が期待されるなか、日本のWi-Fi環境への不満の声は多い。諸外国の事情と比較し課題を探った。
⇒【前回】「日本の公衆無線LAN事情に、訪日旅行者から不満続出」はコチラ https://nikkan-spa.jp/523318
◆海外のWi-Fi事情
今回は、諸外国のWi-Fi環境・利用実態を、現地人と旅行者それぞれの立場に分けて紹介する。SPA!編集部による調査に加え、200もの国や地域のWi-Fi事情を見てきたビジョン社長の佐野健一氏の実体験も、併せて参考にしてもらいたい。
●アメリカ
<現地人>
スターバックスコーヒーやマクドナルドが多いニューヨークなどでは、現地人・旅行者問わず、いつでも気軽に、すぐにWi-Fiが使える。利用者は、「携帯キャリアと契約できない人や、リテラシーの高い人がパケットを節約するために賢く使っている」(佐野氏)といった様子
<旅行者>
上記店舗など、フリーWi-Fiが多いアメリカは、旅行者も気軽に飲食店や図書館などでWi-Fiを利用できるところもある。便利だが「通信傍受などを目的に、店舗と同じSSID(接続先名)を使った“野良Wi-Fi”も飛んでいます。これには注意が必要」(同)とのこと。長距離移動バスの中や空港では有料Wi-Fiも
●ハワイ
<現地人>
観光地ということもあり、スターバックスコーヒーなどのチェーン店は充実している。ほかにも、無料Wi-Fiが利用できるカフェやレストランが増えつつある。アラモアナセンターやビーチなど、観光客が集まる一帯は無料Wi-Fiスポットが多いものの、現地人は使いにくいスポットが多い
<旅行者>
ホテルだけではなく、街中や商業施設、ストリートの一部でWi-Fiが使える。主なサービスとしては、「旅行会社などと提携したWi-Fiスポットや、弊社グローバルWiFiと提携したトロリーバスではSSIDを入力してすぐに使える」(同)とのこと。ショッピングセンターでは階によって使えないこともあるようだ
●中国
<現地人>
「グレートファイアーウォールがあるため、フリーWi-Fiスポット経由で他国のサイトを見られるようにすることは難しい。また、見られるサイトも限定され、接続スピードも遅いです」といった事情があるものの、「上海では飲食店がWi-Fiスポットを競うように設置している」(同)。利用は増えているようだ
<旅行者>
フリーWi-Fiスポットは、「北京はいまいちですが、上海が充実しています。また、香港など都市部ではコンビニでプリペイド式Wi-Fiカードが売られています」(同)と、都市によってバラつきはあるものの、フリーWi-Fi、有料Wi-Fi、コンビニでのプリペイドSIMなど選択肢は多い
●韓国
<現地人>
「光ファイバーが普及しているため、Wi-Fiスポットも比較的高速な通信が行えます」と充実した環境が整っている模様。ソウル市が掲げる「スマートソウル2015」というネット戦略は、「街中でWi-Fi環境が充実しすぎると通信会社が困るという事情もあり計画が進むかどうか……」(同)という不安も残る
<旅行者>
電車内などスポット数も多く、コンビニでWi-Fiカード(レシート)を1時間(約100円)や1日(約300円)で購入して使えるサービスも。ただし、「日本と同じように携帯キャリアやWi-Fi事業者との事前契約が必要なWi-Fiスポットが多いです」(同)とのことなので、注意が必要だ
●インドネシア
<現地人>
東南アジア諸国でもフリーWi-Fiは充実。特にインドネシアは観光地としてだけでなく、出張で訪れるビジネスマンも多く、都市部ではスポットも増えている。スターバックスコーヒー、マクドナルドなどで、フリーWi-Fiが使われている。ベトナムでは屋台などの小規模店舗にも広がっている
<旅行者>
「ホテルのWi-Fiは充実しています。日本人が泊まるような少し良いホテルでは、1日1000円など有料の場合も多いです。無料の宿もありますが従業員が宿泊客の通信を傍受する事件が起きたり、ロビーでしか使えなかったりします」(同)。また空港で売られているプリペイドSIMを使うビジネスマンも多いです
●スペイン
<現地人>
バルセロナ市が提供している「バルセロナWi-Fi」は、観光地を中心に設置されており、免責事項に同意すれば無料で利用できる。カフェやバーなどにもフリーWi-Fiが充実しているが、「代表的な観光地、サグラダファミリアなど主要観光地でもあまり見かけませんでした」(同)とも
<旅行者>
フリーWi-Fiは観光地に多く、青い看板にWの文字が目立つ。空港では、「ヨーロッパ各国ではフリーWi-Fiが充実していますが、時間帯によっては混雑して使いにくいこともあります」(同)とのこと。時間制限制であることも多く、トランジット待ちの時間が長い場合は、事前に調べておいたほうがよさそうだ
【佐野健一氏】
ビジョン代表取締役社長。海外でのルーターレンタルサービス「グローバルWiFi」(http://townwifi.com/)などを展開している
― 五輪を前に考えたい「日本の公衆Wi-Fi」未整備問題【2】 ―
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