「異常気象」と「極端気象」の違いとは?
よ~く考えると違いが曖昧な似たモノは多く、また、個人の主観で定義が変わることもある。そんな「似て非なるもの」の違いを改めて調査! 些細な言葉の違いに込められた意味になんだか納得、なのである
◆[異常気象×極端気象]の違い
毎日チェックする天気予報だけれど、曖昧なまま聞いてない? 例えば、最近、聞かれる「極端気象」。「異常気象」と何が違う?
「『異常気象』は30年に1回以下の稀な現象で、『極端気象』は集中豪雨や竜巻など比較的起こりやすい現象を指すこともある」とは、ウェザーマップの気象予報士・村木祐輔氏。
村木氏によると、異常気象は気象庁によって定義されているが、極端気象は明確な定義がなく、TV局等によって基準が変わるよう。
「気象用語として定義されるとその基準は厳密です。あられ(5mm未満)とひょう(5mm以上)は大きさで、強風(風速15m/秒以上)と暴風(20m/秒以上)は風の強さで決められています。また天気と天候の違いは期間の長さ。天候は5日~1か月程度の長期スパンの平均的な天気の状態を指します。そのため『今日の天候は~』という言い方はしませんね」
また「天気が崩れる」は雨や雪が降りだす際の表現で、「天気が下り坂」は晴れ→くもり、くもり→雨(雪)と天気が悪くなる変化。「『下り坂』のほうが変化のニュアンスが強い」んだとか。さらには「一時雨」は連続して雨が降る時間が予報期間の4分の1未満で、「時々雨」は雨が断続的に降り、その時間が予報期間の2分の1未満。う~ん、そうだったのか!
「伝えたいポイントによって言い方を換えたりもします。『南の風』は南からまっすぐ吹く風ですが、『南よりの風』は西南西や東南東の風も含む。例えば午前中は北風で寒く、午後は風向きが西南西になり暖かくなる場合は、『南よりの風になり~』と表現します。『西よりの風』と言うより、暖かくなる感じがしますよね」
正しく伝えるためとはいえ、それにしても細かい気象用語。しかも年々、新語が生まれているとか。
「最高気温25℃以上の『夏日』、30℃以上の『真夏日』に加え、2007年に最高気温35℃以上を意味する『猛暑日』が予報用語として定義されました。また、『日射病に注意を』という呼びかけが『熱中症』に変わったのも変化の一例。日光の直射で発症する『日射病』に対し、『熱中症』は屋内での発症も含みます。室内で体調を崩す方が増えたため、広義に注意喚起するためです」
温暖化など環境の変化が似て非なる気象用語を生む「夏の暑さに関する言葉は増えそう」だというが猛暑日以上は勘弁願いたい。
★「異常気象」は30年に1回あるかどうか「極端気象」は明確な定義ナシ
イラスト/Studio CUBE.
― [似て非なるもの]の違いがわかる大事典【2】 ―
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