KARA活動停止で振り返るK-POPオワコン説の真偽
韓流エンタメ日本侵攻戦略』(小野田 衛・著 扶桑社新書 本体720円+税)
日本の若者たちはなぜK-POPに熱狂したのか? 日本人が知らない韓流ビジネスの正体、韓国芸能界の裏側を徹底した現地取材をもとに考察。
ヒップダンスの「ミスター」で爆発的ヒットを記録したK-POPアイドルグループのKARA。昨年末から解散の噂が囁かれていたが、今年1月、メンバーのニコルがついに脱退。続いて最年少のジヨンも、今年4月の契約満了を機にグループを離れることになった。日本でのK-POPブームを牽引したKARAだが、今後の活動についてはまったくの白紙だという。
このニュースを受けて、記者の周辺から聞こえてきたのは、「あれ、KARAってまだ日本で活動してたの?」「K-POP自体、オワコンなんでしょ?」という声の数々。
確かに、雨後の筍のように新顔のグループアイドルが続々と来日してきた09年~12年と比べて、昨年あたりから、K-POP関連のニュースがメディアを賑わすことはほとんど無くなった。多くの人が感じているとおり、K-POPブームは完全に終焉したのか。韓流エンタメ事情に詳しいフリーライターの小野田衛氏は次のように語る。
「K-POPブームが収束したのは確かです。ただ、メディアを賑わさないからオワコンというのは言いすぎかもしれません。『韓国の人気グループ○○がついに日本上陸!』といった情報はニュースになりやすく、そのせいで、K-POP勢のメディア露出が多く“ブームに見えていた”だけの話。安定した観客動員数を誇るEXILEやSMAPが横浜アリーナを満員にしたところで“ブームが来ている”とはならないのと同じじゃないですかね」
事実、東方神起は昨年8月、日本最大の観客収容能力を誇る神奈川・日産スタジアムで単独ライブを開催し14万人以上を動員。3年前、「野獣系アイドル」の触れ込みで日本に上陸した2PMは、K-POP男性アイドルグループとしては後発組に属するが、今年発売したサードアルバム『GENESIS OF 2PM』は6万3000枚のセールスを記録しオリコン1位を獲得。ほかにもSHINee、超新星といった日本で人気のグループはCDセールス、観客動員数ともに増加傾向にある。猫も杓子も売れるようなバブルのような状況こそなくなったが、数字を見る限り、上記のような人気グループに関しては一過性のブームではなく、安定期に入ったと見るほうが自然だろう。
「ただし、ガールズグループに関しては厳しい状況に追い込まれています。これまで日本では、KARA、少女時代、2NE1といったところが不動の人気で、毎年開催される日本公演で盛況を収めてきました。問題は、それ以下の位置につけているグループです。よっぽどのことがないと、今後、国内での展開は期待できない」
それは、現在、隆盛を続ける日本のアイドルに男性ファンが流れていることが原因だろうか?
「逆です。そもそも日本のアイドルファンでK-POPに流れた人は、さほど多くはなかった。K-POPガールズグループの支持層の大半は、10代女子と指摘されています。というのも、KARAや少女時代が来日した10年当時、日本には浜崎あゆみ、倖田來未に続く“10代の女のコが憧れる女性アーティスト”の枠が不在で、その空席を埋めたのがK-POPガールズグループだったからです。ただ、その枠も今では、きゃりーぱみゅぱみゅ、℃-ute、E-girlsといった面々がひしめいています。とはいえ、これは日本国内の話。現在、国産アイドルがいまいちパッとしないタイなどでは、少女時代の人気は過熱する一方です」
少女時代、2NE1に比べれば、韓国よりも相対的に日本での人気が高かったといわれるKARAは、その影響をモロにかぶったという見方もできそうだ。
<取材・文/スギナミ>
【参考文献】
『
『韓流エンタメ 日本侵攻戦略』 少女時代、KARAはなぜ売れた? |
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