人が駅の自動改札で引っかかる確率は何%?
― 井上純一「漂流芸人」vol.2 ―
自動改札を通ろうとしたら前のヤツが引っかかって、ちょっとイラッ。誰しも一度はそんな経験をしたことがあるだろう。自身も「よく改札に引っかかって、申し訳ない気分になる」と語るのは、誰に頼まれたでもなく勝手にいろいろ調査する“漂流芸人”井上純一。今回は「いったい改札口を通過するとき、どのくらいの確率で人は引っかかってしまうものなのか」をリサーチした。
調査地に選んだのは、JR新宿駅西口改札前。時間帯は平日16~18時の2時間で、その間に改札を通過していく人のうち、何人中何人が改札に引っかかるかを観察した。調査方法としては、改札に行き交う人々の総人数と改札で引っかかった総人数の両方を用意した2つのカウンターでひたすら数えるのみ。
結果、8000人中119人(1.48%)が、改札の扉(フラップドア)に引っかかった。また、内訳としては、駅構内に向かって改札を通過する人4000人のうち、改札の扉に引っかかってしまった人数は36人(0.90%)。反対に、駅構内から外に向かって向かって改札を通過する人4000人のうち、83人(2.07%)が扉に行く手を阻まれた。
その主な要因は、SuicaやPASMOなどICカードのチャージ不足。なお、引っかかっていた人の特徴は、老若男女問わず幅広いが、「強いて言えば50~60代ぐらいの年齢が高めの人が多かった」とのこと。
そして引っかかった人たちのリアクションはというと……。
「一番多かったのは、『え、本当に?』という言葉を連発しながら、何度も確かめるように自分のICカードを改札の読み取り口に何度も叩きつけているおばさんたち。あとは、引っかかった瞬間に後ろの人に申し訳なさそうな顔をして精算機に向かったり、『ちくしょー!』『あ~!』といった悔しそうな顔をしている人も多かったですね。そして、一部ではありますが、素知らぬ顔をして強行突破をしていく人たちもちらほらいました」
一方、人が引っかかったときにその後ろにいた人のリアクションは、「基本的にはみんな迷惑そうな顔をしていた」というのが印象深かったとのこと。実験を通して、改札に入るときに引っかかってしまう人に比べて、出るときにひっかかってしまう人が約2倍もいたことに対して、井上純一はこう分析する。
「SuicaやPASMOなどのICカードを使っている人が圧倒的に多かったのは、目的地までの電車賃を調べず、『とりあえず改札に入る』という人ばかりだったからなんでしょうね。切符だけしか流通していない時代であれば、みんな行き先までちゃんと切符の運賃を調べて買っていたと思うので、『改札に引っかかる』という現象は、現代IT社会が生み出した弊害のひとつなのかもしれません。あと、個人的には改札に引っかかっても強行突破していく人たちのなかには、おじさんやおばさんが結構多かったので、なんかちょっと切なくなりました……」
ちなみに、別日にJR蒲田駅で、「金曜日の終電時に改札に引っかかる人の数」もリサーチしたという彼。そのときの結果は350人中15人(4.3%)と、平日夕方よりもかなりの高確率で人が改札に引っかかっていることが明らかになった。終電ギリギリで急いでいたこと。また金曜日の終電ということで、酒が入っている人が多かったことが要因と言えるかもしれない。
【井上純一】
ピン芸人。街中に行き交うさまざまな不思議をリサーチし、解明するのが生きがいの“漂流芸人”。スイーツ芸人&うまい棒芸人としても活躍。毎週土曜日20時~21時30分、ソラトニワFMにて放送中の『スパローズの原宿神宮前芸人』に井上刑事として不定期で出演中。
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