ネコババか警察か? 人は道に落ちている財布を見つけたとき、どうするのかをガチ検証
― 井上純一「漂流芸人」vol.4 ―
仕事を決めるとき、結婚をするとき、家を買うとき……など、人生にはいくつかの決断のときがある。そんななか、誰しもが一度ぐらいは経験するであろう決断のときがある。それは、道に落ちた財布と遭遇したときだ。
そこで、今回漂流芸人・井上純一が検証したのは「道に財布が落ちていたとき、人はどんな行動を取るのか」である。
まず、何も入っていない空っぽの財布をひとつ用意。道に落として様子を見てみた。また、地域差を図るため、今回は渋谷・蒲田・銀座という3か所にて実践したという。
1か所目は渋谷・宮益坂付近。財布を放置し、遠目から見守ってみるも、人通りがあるせいかなかなか財布を手にする人は現れない。そこで、ようやく246人目で落ちた財布を手にする人が現れた。
「推定20代後半の男性。彼は拾った瞬間にビルの影に隠れて中身を確認。中身がカラだと知ると、財布を道にたたきつけて去っていきました。そして、次は渋谷ヒカリエ前に移動。通りかかって、324人目で地方から来たと見られる修学旅行中の中学生にようやく拾われました。男のコだったのですが、財布の中身を確認して、周囲の同級生たちから囃し立てられていました」
続いての場所は、渋谷・東急ハンズ前。こちらも人通りが多いせいか、なかなか財布は拾われず。259人目にしてようやく拾い手が現れる。
「拾ってくれたのは10代後半のギャル。財布を見つけた途端、そわそわしながら財布の横に立ち始め、誰にも見られていないことを確認してから、そっと拾っていきました。その後は、ハンズの女子トイレに駆け込んでいました。女子トイレだったので、中に入れなかったのですが、おそらく財布を確認していたのではないでしょうか」
そして、渋谷は一旦切り上げ、次は蒲田駅周辺で実験開始。
「渋谷はなかなか人目があるせいなのか財布を拾ってくれる人が少なかったのですが、蒲田駅では財布を置いて、たった5秒で拾われました(笑)。1人目はホームレス風の人で、財布をふって音を確認していました。なかがカラだと知ると、財布にタバコを押し付けてどこかに行ってしまいました」
そして、次に拾ったのは、11人目に通りかかった学生風の男性。
「財布を拾うなり、パチンコ屋のトイレに入っていきました。数分後、出てきたので個室を確認してみると、財布はトイレの棚に置き去りになっていました。続いて、財布を拾ったのはOL風の20代女性。一度財布のわきを通り過ぎるものの、何度も首をかしげながら、そのまま持ち去っていきました」
続いて、最後の調査地に選んだのがセレブ街、銀座。
「最初は、銀座名物・松坂屋の裏手の道に財布を放置してみました。31人通り過ぎた後、32人目の30代男性に拾われました。特に中身は確認されず、近くの店の傘立てに置いて立ち去っていきました。なかなか人が現れなかったため、次は銀座の交番裏に場所を変えました。すると、置いてすぐにデパートの制服を着た女性に拾われました。彼女はすごいいい人で、傍目から見ると急いでいたにも関わらず、中身も確認せずに交番に走って警察に届け、そのまま走ってどこかへ去っていきました。そして、最後は銀座ユニクロ前。114人目でようやくおばちゃんに拾われたのですが、彼女は拾った財布をそのままカバンにそっと忍ばせて、駅に向かっていきました」
結局、1000人近い人が財布のそばを通り過ぎたわけだが、気付き、実際に財布を拾ったのはたったの8人。そして、警察に届けたのは1人だったという結果になった。
「今回の調査で、拾ったうちの何人かの表情が、一瞬のうちに『どうしようかな、届けようかな』『いや、もらってしまおうかな?』とくるくると変わったのがおもしろかったですね。まるで、天使と悪魔がささやいているようでした。あと、もうひとつ気になったのが、財布を拾う人の行動が、場所によって違うこと。蒲田や渋谷だと財布を持って行く人が多かったのですが、銀座だと心やお金に余裕がある人が多いのか、財布を持ち去らず、目立つ場所に置く、もしくは警察に届けるという人が多かったです。財布を落とすなら銀座に限りますね!(笑)」
【井上純一】
ピン芸人。スイーツ芸人&うまい棒芸人としても活躍。毎週土曜日20時~21時30分、ソラトニワFMにて放送中の『スパローズの原宿神宮前芸人』に井上刑事として不定期出演中。
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