更新日:2014年06月23日 09:11
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成人男性は1日1万個のカビの胞子を吸っている!?

カビを放置した水回り、ホコリの積もった床、臭う万年床……「男の一人暮らしなんてこんなもの、部屋が汚いくらいで死にやしない」と思うなかれ。カビ毒には致死率50%、発ガン性などの危険なものがあるという。命あるうちにぜひ掃除を! ◆触れるなキケン!! このカビ、菌が特にヤバい!  前回まで、食べカス、ホコリ、湿気に潜むカビとその危険性について触れてきた(https://nikkan-spa.jp/651309)。ここでカビが発生する条件をおさらいしてみよう。解説は千葉大学真菌医学研究センターの矢口貴志博士。 「カビが生える条件は水分と湿度と栄養源。湿度60%以上、温度が20~30℃になるとカビが生えやすくなります。栄養素は皮脂や皮膚、ホコリ、食べカスなど。あらゆるものがカビの栄養源になります」  なかでも、特に人体に影響を与える2大危険カビは先に触れた、アスペルギウス・フミガータス(麹カビの一種)とエキソフィアラ(黒カビ)。しかも、これらは我々の生活環境に普通に存在しているのだ。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=653951 「とはいえ、カビは感染力が弱く、免疫力の低下したガンの末期患者や小さな子供、お年寄りでなければ、真菌症(カビによる感染症)にはほぼ感染しないと考えてよいでしょう。しかし、何かの病気でステロイドを使っている人や過労などで長期的に疲れている人、また、ヘビースモーカーは要注意です。喫煙によって肺が傷つくと、そこにカビが生えやすくなってしまう。しかも、肺は一度壊れると元に戻らない臓器なのです」  ここで、非喫煙者だからと胸をなで下ろすのはまだ早い。 「個人差はあるものの、ハウスダストと同様、健康な人でもカビの胞子を吸い続けることで、アレルギー反応が出ることがあります。ちなみに、1立方メートルあたりにいるカビは100~1000個といわれる。それらを成人男性の平均的な呼吸量に換算すると、一日に1万個以上のカビの胞子を吸っている計算になります」    度を越した汚部屋では、それ以上であることは確実だ。 「どんなに掃除をしてもカビをゼロにすることはできませんが、カビの胞子を吸っていいことはひとつもない。できるだけ減らす努力をするに越したことはないのです」  せっかく女性を部屋に招くも、汚部屋がために嫌われるだけでなく、相手にとんだ迷惑をかける可能性もある。 「カビが増えるとそれをエサにしているダニも増えます。ダニが引き起こすアレルギーにも深刻な症状を引き起こす場合があるのです」  そもそも、そんな場所で一戦交えたりすると、大切な粘膜が病気に感染してしまいそうだが……。
矢口貴志博士

矢口貴志博士

「性病の菌と汚部屋にいる菌は別物ですが……人にはマラセチアという常在菌がいます。これは人の脂や湿気が大好きで、汗をかいたままなどの環境下で爆発的に増えることがあります。まったく洗っていない寝具でそういう行為に及んだとしましょう。その際、どちらかの脇の下や首など皮膚の柔らかいところ、汗がたまりやすい場所に、小さな傷があると、そこから菌が入り、癜風という皮膚がただれ、湿疹のような症状を起こす病気になる可能性は考えられます」  汗をかきやすいこの季節、身の回りを清潔に保つことは、愛情を保つことにも繋がる!? 【矢口貴志博士】 千葉大学真菌医学研究センター所属。千葉大学准教授。微生物物資源分野 バイオリソース管理室長。わかりやすい解説に定評があり、『世界一受けたい授業』をはじめ『スーパーJチャンネル』などテレビ出演も多数 ― [汚部屋]に潜む死に至る病【4】 ―
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