甲子園で「カタカナ名」が増えている【第96回甲子園】
高校野球の世界でも「カタカナ名前」の選手が増えてきている。
イラン人とのハーフのダルビッシュ有がその恵まれた体躯と甘いルックス、そして豪速球で甲子園を大いに沸かせたのは12年前。甲子園のスコアボードに掲げられる「カタカナ名」でも話題を呼んだものだった。
ダルビッシュの登場から12年経った今大会――。そんなハーフの選手は確実に増えているのだ。
まずは優勝候補・九州国際大学付属(福岡)の2選手、アドゥワ大(まさる)選手(3年)とジャーマイアス賢三(3年)選手だ。アドゥワ大選手は父親がナイジェリア人で、甲子園では背番号14を着けた控え投手。196cm、84kgの体格から投げ下ろす角度のあるストレートと、落差のあるカーブが魅力だ。福岡大会では2試合に登板している。
もうひとり、ジャーマイアス賢三選手も背番号11の控え投手。181cm、78kgの長身から投げ込むストレートは威力抜群。福岡大会での登板は無いが、昨秋の九州大会ではリリーフで活躍した。父親はハンガリー出身で、自身もカナダ生まれという国際派だ。
同校の若生正広監督は東北(宮城)の監督時代にはダルビッシュ有を育て、’03年夏には準決勝に導いた名将。今夏で勇退すると発表しており、その采配が大いに注目されている。
佐久長聖(長野)にはマッカーシー龍海鳩(りゅうみっく)選手(2年)がいる。カナダ人の父親とのハーフで、背番号16を着けてはいるが、左投げ左打ちでライトのレギュラー。182cm、79kgとガッシリとした体格だが堅守と評判だ。
近江(滋賀)のサラサルアレキサンダー英二選手(2年)は背番号10の控え投手。メキシコ人の父を持ち、177cm、77kgと体格はそれほど大きくはないが、ストレートが威力抜群で、リリーフを任される。「サラサルアレキサンダー」という苗字は恐らく甲子園史上最長(11字)の文字数。一部の大会資料では「サラサル」と略されてはいるが、登場の際にはスコアボードにはどう選手名が記されるのかにも注目が集まる。(ちなみに記者が確認した甲子園でのスコアボード記載最長名は、阪神タイガースのメッセンジャー。7文字もあるが撥音「ッ」「ャ」があることから、略されることなく記されていると思われる)
県大会準決勝で敗退したが、東海大三(長野)には、フィリピン人の母を持ち、今春のセンバツ出場の際には「イケメン」と注目された右腕・高井ジュリアン選手(2年・投手)がいる。同じく準決勝で敗退した専大北上(岩手)には父親がポーランド人の190cm右腕ミヒニャック晏治英(あんじえい)選手(2年・投手)など、将来のドラフト候補になろうかという有力選手が大勢いるのが現実だ。
サッカーの世界では、カレン・ロバート、長谷川アーリアジャスール、ハーフナー・ニッキなど日本代表の各カテゴリーにはカタカナ名前の選手が名を連ねることが”当然”となっており、実際、高校サッカー選手権でも多くのカタカナ名が見れられる。芸能界でもハーフタレントがバラエティー番組に多く起用されるなど「ハーフ・ブーム」といっても過言ではない。
‘08年の厚生労働省の調査では、’06年に日本国内で生まれた子ども(110万人)のうち、「30人に1人がどちらか一方の親が外国人」いうデータもあり、今後こうしたスポーツ界で活躍する子供たちが増えていくことは確実だ。
彼らの先輩、ダルビッシュ有のように、体格や才能溢れる彼らが、将来、日本を背負い、そして世界を驚かせる選手になることを大いに期待したい。
<取材・文/日刊SPA!高校野球取材班>
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