スポーツ

もはや「野球留学生」は甲子園に不可欠なのか? 56校全データ/第100回 夏の甲子園

 100回目の記念大会を迎えた「全国高校野球選手権大会」が開幕。今年は新たに激戦区である7府県(埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡)を2つに分け、史上最大の56校が「深紅の優勝旗」をかけて熱い戦いを繰り広げる。 甲子園 今年は“異常な猛暑”ということで、炎天下での試合には例年以上に賛否を巻き起こしている「夏の甲子園」だが、日頃厳しい練習で鍛えられてきた選手には外野の雑音は無用であろう。それよりも応援の生徒や関係者の健康管理が必要なのは言うまでもない。  いろんな意味で注目を集めている今大会だが、やはり春の覇者、大阪桐蔭が史上初の2度目の春夏連覇を達成するかが、一番の関心事だろう。  今年の3年生は2000年生まれ。ミレニアム世代で今秋のドラフト候補満載の大阪桐蔭は、50メートル5秒7、北大阪大会の打率.636の藤原恭大(3年)、遊撃手と投手の“二刀流”でチームを牽引する根尾昂(3年)、四番を打つ山田健太はどちらも地方大会、打率5割超えという驚異の打線、「歴代最強」と評されるチームに死角はない。  その大阪桐蔭と2日目(6日)の第2試合で対戦するのは、2年前の夏優勝校で、1962年には史上初の春夏連覇の経験がある作新学院(栃木)。栃木大会準々決勝で1イニング3本塁打を放った打線は強力。「春夏連覇経験校」の対戦は投手の出来が勝負を分けそうだ。  大阪桐蔭の対抗馬となりそうなのが、春のセンバツ決勝で大阪桐蔭に屈した智弁和歌山。ドラフト候補の3番・林晃汰(3年)は地方大会で厳しいマークに悩んだが、後を打つ4番・文元洸成(3年)が5割超え、5番・冨田泰生(3年)が2本塁打と強力だ。  今大会の初出場は6校、春夏初めては白山(三重)、明石商(西兵庫)、折尾愛真(北福岡)、沖学園(南福岡)。なかでも白山は、2年前までは10年連続初戦敗退の「弱小校」。野球経験のある女性部長や、超山奥の環境が注目を集めるなど、話題となっている。

ベンチ入り18人が全員「留学生」も

 今回出場する56校の内訳を見ると48校が私立高校。公立はわずか8校で、公立高校にとってはますます甲子園は“狭き門”となっているのがわかる。  そんなとき毎年議論となるのは、私立の甲子園常連校などが、県外から選手をスカウトなどして集める「野球留学生問題」だ。親の転勤、通学の利便性など近隣県で の「越境」もあるが、参加チーム(近年は選手減少などにより合同チームを組む学校も多くなっており、ここでは“チーム”表記する)数の多い、関西から東北や山陰に越境する選手が多いことは知られており、「高校野球ファンならずとも議論の的となっている。  また、甲子園で“強豪”として知られる高校の多くが、県外の有力選手をスカウティングしていることも知られている。とくに今回は記念大会では出場校が増えるため、3年以上前からそれを見越した選手勧誘をしていた学校も多い。しかし、大谷翔平の母校・花巻東のように「地元の学生のみで全国制覇をする」というカラーを打ち出しているチームもあることも知っておいてほしい。  2012年から日刊SPA!が調査、掲載した記事には様々な意見を頂いている。今年は記念大会で出場校が例年より多い(49→56校)ため、単純比較はできないが「留学生」の割合は毎年、ほぼ一定の割合(35~38%)を示している。以下のデータは各都道府県の代表校のベンチ入り18人の選手のうち、県外出身者の占める割合を表したものである。  予選参加チームが多い東東京(132校)西東京(130校)西愛知(101校)や最少の鳥取(24校)では明らかな”格差”が生じていることや、こうした「留学生」が各地域のレベルを押し上げていることも鑑みて、以下のデータをみていただきたい。 ●2018県外出身者人数(全56校 ベンチ入り18人のうち) ※学校名[出場回数](参加地域/公私立/予選参加チーム数):県外者人数[出身中学県](部員数)★印は夏の甲子園優勝経験校 [なし]11校(昨年7校 ※49代表制) ・旭川大[9年ぶり8回目](北北海道・私立・89チーム)0人(部員62人) ・花巻東[3年ぶり9回目](岩手・私立・66)0人(120人) ・金足農[11年ぶり6回目](秋田・県立・44)0人(50人) ・作新学院★[8年連続14回目](栃木・私立・59)0人(92人) ・中越[2年ぶり11回目](新潟・私立・82)0人(94人) ・愛産大三河[22年ぶり2回目](東愛知・私立・85)0人(71人) ・高岡商[2年連続19回目](富山・県立・48)0人(72人) ・明石商[初出場](西兵庫・市立・90)0人(129人) ・丸亀城西[13年ぶり5回目](香川・県立・38)0人(46人) ・東海大星翔[35年ぶり2回目](熊本・私立・61)0人(102人) ・興南★[2年連続12回目](沖縄・私立・65)0人(125人) [1~5人]15校(昨年16校) ・前橋育英★[3年連続4回目](群馬・私立・64チーム)1人=埼玉1(部員70人) ・折尾愛真[初出場](北福岡・私立・63)1人=長崎1(47人) ・佐賀商[10年ぶり16回目](佐賀・県立・40)1人=福岡1(57人) ・沖学園[初出場](南福岡・私立・70)2人=山口1 鹿児島1(52人) ・白山[初出場](三重・県立・61)2人=愛知1 富山1(56人) ・鳴門[2年ぶり12回目](徳島・県立・31)2人=兵庫1 奈良1(45人) ・高知商[12年ぶり23回目](高知・市立・28)3人=奈良2 大阪1(71人) ・鹿児島実[3年ぶり19回目](鹿児島・私立・70)3人=宮崎2 兵庫(114人) ・常葉大菊川[2年ぶり6回目](静岡・私立・111)4人=大阪3 愛知1(84人) ・北照[5年ぶり4回目](南北海道・私立・106)5人=大阪4 青森1(60人) ・仙台育英[2年連続27回目](宮城・私立・67)5人=福島3 北海道1 山形1(121人) ・星稜[2年ぶり19回目](石川・私立・46)5人=神奈川1 岐阜1 富山1 兵庫1 京都1 (77人) ・報徳学園★[8年ぶり15回目](東兵庫・私立・72)5人=奈良2 京都2 大阪1(113人) ・奈良大付[初出場](奈良・私立・39)5人=大阪5(100人) ・済美[2年ぶり6回目](愛媛・県立・59)5人=奈良2 広島2 兵庫(54人) [9人以下]10校(昨年9校) ・土浦日大[2年連続4回目](茨城・私立・98チーム)7人=東京5 千葉2(部員91人) ・中央学院[初出場](西千葉・私立・80)7人=東京4 茨城3(80人) ・近江[2年ぶり13回目](滋賀・私立・50)7人=大阪4 岐阜1 京都1 奈良1(104人) ・木更津総合[3年連続7回目](東千葉・私立・83)8人=神奈川3 群馬1 埼玉1 東京1 岐阜1 奈良1(60人) ・敦賀気比[3年ぶり8回目](福井・私立・30)8人=大阪6 神奈川1 京都1(88人) ・広陵[2年連続23回目](広島・私立・88)8人=岡山3 山口1 京都1 兵庫1 福岡1(130人) ・下関国際[2年連続2回目](山口・私立・58)8人=福岡5 広島3(51人) ・二松学舎付[2年連続3回目](東東京・私立・132)9人=神奈川5 千葉2 埼玉1(64人) ・智弁和歌山★[2年連続23回目](和歌山・私立・39)9人=大阪2 京都2 青森 三重 奈良 兵庫 滋賀(34人) ・日南学園[2年ぶり9回目](宮崎・私立・48)9人=大阪5 奈良1 和歌山1 福岡1 鹿児島1(52人) [10人以上]20校(昨年17校) ・聖光学院[12年連続15回目](福島・私立・78チーム)10人=東京2 神奈川2 新潟1群馬1千葉1大阪1兵庫1 岡山1 (117人) ・横浜★[3年連続18回目](南神奈川・私立・92)10人=栃木3 千葉2 福島1 東京1 福井1 静岡1 熊本1(66人) ・山梨学院[3年連続8回目](山梨・私立・35)10人=大阪3 福島1 群馬1 東京1 神奈川1 岐阜1 愛知1 京都1(74人) ・龍谷大平安★[4年ぶり34回目](京都・私立・75)10人=滋賀3 岐阜2 大阪2 三重1 兵庫1(95人) ・羽黒[15年ぶり2回目](山形・私立・48)11人=神奈川6 東京2 千葉2(76人) ・愛工大名電[5年ぶり12回目](西愛知・私立・101)11人=三重2 滋賀2 石川2 岐阜1 福井1 富山1 大阪1 佐賀1(52人) ・近大付[10年ぶり5回目](南大阪・私立・87)11人=和歌山4 兵庫3 奈良3 京都1(65人) ・浦和学院[5年ぶり13回目](南埼玉・私立・84)12人=栃木2 福岡2 北海道1 宮城1 群馬1神奈川1 千葉1 大阪1 愛媛1 鹿児島1 (100人) ・日大三★[5年ぶり17回目](西東京・私立・130)12人=神奈川4 千葉3 埼玉2 茨城1 長野1 兵庫1(71人) ・慶応★[10年連続18回目](北神奈川・私立・94)12人=東京7 北海道1 千葉1 埼玉1 茨城1(105人) ・佐久長聖[2年ぶり8回目](長野・私立・85)12人=大阪6 神奈川3 奈良2 兵庫1(160人) ・創成館[3年ぶり2回目](長崎・私立・57)12人=福岡10 大阪1 広島1(123人) ・大阪桐蔭★[2年ぶり10回目](北大阪・私立・88)13人=兵庫2 奈良2 北海道1 愛知1 岐阜1 京都1 滋賀1 和歌山1 徳島1 愛媛1 佐賀1(63人) ・創志学園[2年ぶり2回目](岡山・私立・59)13人=大阪4 鳥取3 兵庫2 徳島2 広島1 香川1(98人) ・大垣日大[2年連続5回目](岐阜・私立・68)15人=愛知8 石川1 三重1 福井1 兵庫1 和歌山1 鳥取1(49人) ・鳥取城北[3年ぶり5回目](鳥取・私立・24)15人=大阪6 兵庫6 京都2 奈良1(135人) ・八戸学院光星[2年ぶり9回目](青森・私立・59)16人=大阪8 岩手1 福島1 茨城1 神奈川1 奈良1 徳島1 鳥取1 沖縄1(118人) ・花咲徳栄★[4年連続6回目](北埼玉・私立・74)16人=東京5 神奈川3 栃木2 大阪2 北海道1 群馬1 兵庫1 新潟1(163人) ・藤蔭[28年ぶり2回目](大分・私立・44)16人=福岡14 大阪1 奈良1(83人) ・益田東[18年ぶり4回目](島根・私立・39)18人=大阪15 京都1 兵庫1 福岡1 (138人) ●都道府県別、県外出身者(=総数360人 56代表ベンチ入り選手18人の35% ※前年=38%) ・大阪=67人 ・福岡=34人 ・神奈川=31人 ・東京=29人 ・兵庫=25人 ・奈良=20人 ・千葉=15人 ・京都=13人 ・愛知=12人 ・岐阜=8人 ・埼玉、栃木、和歌山、滋賀、広島=7人 ・茨城、三重=6人 ・群馬、鳥取=5人 (4人以下は省略) ※ちなみに県外出身者を排出していない代表校の県は以下のとおり 秋田、山形、山梨、島根、高知、大分 ※大阪府の中学出身球児は今大会67人で、56代表ベンチ入り18人の約7%を占める 参考「週刊朝日増刊 甲子園2018」 <取材・文/日刊SPA!高校野球取材班>





おすすめ記事