更新日:2015年09月11日 07:47
ライフ

大雨被害で再注目、都心の水害対策はどうなっている?

新小岩

8月10日、新小岩駅の浸水状況(Twitter検索結果より)

 11日、気象庁は北海道3地方で大雨特別警報を出した。同日17時29分には道内すべてで解除されたものの、12日明け方までは引き続き警戒が必要な状況となっている。10日には、関東でも1時間に100mm近い降雨が観測され、浸水被害、自動車の水没などの被害が相次いだ。JR総武線新小岩駅では、駅周辺、駅構内で床上浸水となり、多くの駅利用者がTwitterで被害状況の写真をアップしていた。  局地的大雨(ゲリラ豪雨)を機に、水害対策への関心は高まっているが、都内の水害対策はどのような状況になっているのだろうか? 特に駅に直結した大規模な商店街などでは、より安全性が気になるところだ。  東京都心部は、新宿の歌舞伎町地下街(サブナード)、池袋の東口地下街(I.S.P)、東京の八重洲地下街、新橋の東口地下街、渋谷の渋谷地下街ショッピンググロードしぶちかなど、多くの大規模地下街がある。ゲリラ豪雨により地下鉄改札や地下街の地上口の階段から滝のように水が流れこむと、施設利用者の通行を妨げ、怪我や死亡事故にもつながる危険な状態となってしまう。 ⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/713686/suigai2
地下街

地下街の広がる都心主要駅周辺(東京都地下空間浸水対策ガイドラインより)

 河川の多い東京都では、地下街をはじめ、たびたび水害が起きており、神田川、目黒川、渋谷川・古川、立会川、呑川、内川流域では特に被害が大きく、年平均被害額は100平方kmあたり20億円を超えるという。 ◆東京都の治水対策
「東京都豪雨対策基本方針(改定)」

「東京都豪雨対策基本方針(改定)」より

 東京都は、過去の浸水被害をもとに治水対策を積極的に行なってきたが、近年のゲリラ豪雨などによる被害状況などをふまえ、2014年6月に「東京都豪雨対策基本方針(改定)」を策定している。1986年に定めた時間50mmの降雨を基準とした治水対策から、区部では時間75mmの降雨に対応できるよう、下水道や調整池の整備をおおむね30年かけて進めていくそうだ。  地下空間に一時的に雨水を貯める「調整池」は、計11河川25か所で調節池が整備済みで、古川地下調節池などが完成すれば、計12河川28か所で約260万立方mの水を貯留することが可能となる。都内各地域の治水対策状況は、「第2章 治水対策の現状」を参照すると、貯留施設の場所など詳細に表やマップでまとまっていた。 ◆渋谷の地下にも地下貯留槽が建設中
渋谷駅街区土地区画整理事業

渋谷駅街区土地区画整理事業 工事進捗状況より

 地下街について確認すると、過去に大規模な浸水被害にあった新宿駅などは実施完了となっているが、渋谷駅東口はまだ完了していないようだった。渋谷駅といえば、東急東横線渋谷駅の地下化など、大規模な「渋谷駅街区土地区画整理事業」が注目されている街だ。ところが、過去には大きな浸水被害も多発しており、浸水リスクが高い街の一つといえる。  2006年には、東急プラザ前から神宮通公園までの間には、地下約25mから約38mの深さに、延長760m、内径2.6mmの貯水管が完成しており、整備は進んでいる。そして、駅街区の整備事業のひとつとして「地下貯留槽整備」が建設中で、2014年8月29日時点で地下25m(ビル8階分相当)まで掘削作業が完了、2020年に完成予定となっている。渋谷駅が生まれ変わるとともに、水害に強い街に生まれ変わっていきそうだ。 ◆ハザードマップの確認を  東京都に限らず、多くの自治体は洪水ハザードマップや治水対策の状況を公表している。いつ襲ってくるかわからない大雨による水害が起きる前に、一度確認してみてはいかがだろうか。
「東京都豪雨対策基本方針(改定)」

治水対策状況 「東京都豪雨対策基本方針(改定)」より

●報道発表資料「東京都豪雨対策基本方針(改定)」 http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2014/06/70o6u100.htm ●東京都建設局 洪水ハザードマップ http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/suigai_taisaku/index/menu03.htm ●渋谷駅街区土地区画整理事業 工事進捗状況 http://re-shibuya.jp/information/progress/ <取材・文/林健太>
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