F1小林可夢偉とケータハムのドタバタ劇を振り返る
―[蘇る、ホンダレーシング魂!]―
<2014 F1日本GP鈴鹿スペシャル>
マクラーレン・ホンダ初走行まであと3か月。2015年への期待、高まる!
【小林可夢偉】金欠崩壊寸前のチームで奮闘!ダメダメクルマでど根性の完走!
小林可夢偉(ケータハム)が走ると、それに合わせてKAMUI応援旗のはためきも観客席を移動する。鈴鹿ならではの特別な光景だ。
しかし、チームはボロボロ、クルマはポンコツ。4度目の母国日本GP、我らが可夢偉は完走(19位)するのが精いっぱいだった。
「この週末は今年一番流れが悪かった。残念ながら結果は出せなかったけど、僕がコーナーを曲がるたびに、旗が動いていくのが見えて、それがうれしかったし、力にもなった。雨の難しいコンディションのなか、完走できたことだけはよかった」
シーズン当初から遅すぎるクルマに大苦戦。7月にチームが売却されてからは、状況はさらに悪くなる一方で迎えた鈴鹿だった。
(1)7月、ケータハムのチームオーナー、トニー・フェルナンデス(エアアジアCEO)は、不振が続くチームに見切りをつけ、スイスと中東のファンドという謎の投資集団にチームを売却。
(2)同月、ケータハムは40人以上のスタッフを解雇。
(3)9月、金欠チームはレースシートの切り売りを始め、ベルギーGPで可夢偉のシートが奪われる。イタリアGPでは復帰したものの、これ以降、可夢偉が走れるかどうかはGP直前まで不透明に。
(4)同月のシンガポールGP。ケータハムからピレリへのタイヤ代金未払いで、タイヤ供給が一時ストップされる。
(5)10月1日、日本GP開幕2日前になって、ようやく可夢偉の出場が確定。
(6)2日、ケータハムがチームホスピタリティ使用料未払いのため、鈴鹿サーキットから一時使用を禁止される。
(7)同日、提携企業への未払いで、イギリスにあるケータハムのファクトリーの一部資材が差し押さえられたことが明らかに。
(8)3日、母国GPなのに、可夢偉はリザーブドライバーにフリー走行1回目の走行権を奪われる。
そしてフリー走行2回目。走り始めてわずか3周目でクラッシュしたのが痛かった。
可夢偉より多くの資金を持参しているチームメートには新型フロントウイングが装着される一方、可夢偉用のスペアパーツはなく、旧型パーツへと交換してなんとかクルマは修復されたものの、2グレードダウン。大きなハンディを背負ったまま走らなければならなかったのだ。
日本GPの翌週に行われた初開催ロシアGP(ソチ)では、装着パーツの寿命も近づいたため、チームから走行距離制限がかけられ、満足に走ることすら許されなかった。
さらに決勝では、どこも壊れてないのにかかわらず、クルマを守るために22周終えたところでピットに呼び戻され、リタイアされられる始末。
なんと不憫な。日本人唯一のF1ドライバーであり、我らが希望の星がこんな扱いを受けて悲しすぎる。
◆ジュール・ビアンキの一日も早い回復を願う!
不運な事故は雨脚が強くなった日本GP終盤に起きてしまった。ダンロップコーナーでスーティル(ザウバー)がコースアウトしてクラッシュ。そのマシンを撤去中のクレーン車後部に、同じところでコントロールを失ったビアンキ(マルシァ)が激突。頭部に深刻なダメージを負ったビアンキは、意識不明のまま三重県立総合医療センターに救急搬送され緊急手術。びまん性軸索損傷と闘っている。
取材・文/SPA!鈴鹿F1再興委員会 写真/Honda MOBILITYLAND Caterham F1 Team McLaren Ferrari Marussia F1 Team
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