中日ファンは優勝してもまだまだ怒り心頭【後編】地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝
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『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』では、一連の解任報道を巡るファンの怒りの声を伝え、解任と優勝の狭間で葛藤するファンの声をお伝えした。それからの優勝である。ファンも少しは溜飲を下げて勝利の美酒に酔っているのかと思いきや、優勝後に落合監督解任にまつわる舞台裏が暴露されると、さらにヒートアップしてしまったのであった。その生の声を聞いた筆者は、最後に一連の騒動について地元メディア関係者に話を聞いてみた。
※『落合監督退任報道に中日ファンは怒り心頭』(https://nikkan-spa.jp/69392)
◆地元メディア関係者に聞く お家騒動と優勝
――ガッツポーズは本当なのか?
「たぶん本当でしょうね。一紙だけの独占じゃないし、デイリーと東スポの二紙に抜かれてます。日刊スポーツには監督自ら新幹線で名古屋に行ったことや、恨み節ともいえる心情を吐露していますしね」
――ファン感情は爆発しました。
「蓋を開けてみれば坂井球団社長のあまりにも非礼な振る舞いに、球団内外、ファン、そして野球界全体から非難の声が上がってしまったんです。解任報道の頃から今に至るまで、世論やファン心理などの読みが甘すぎます。それとガッツポーズ事件にしても脇が甘すぎですね」
――高木監督でファンは戻るのか?
「こればっかは蓋を開けてみないとわからない。確かにコメントも出せて露出も増えるから、注目する人は増えるでしょう。でも、中日は冬の時代を迎えるだろうと思います。先日、仲の良い野球解説者(関東の球団出身)と話してたんですが、こんなことを言ってたんです。『監督をああいう形で切って、コーチ陣にも同じような扱いをしたからね。たぶん他球団出身者はコーチに招聘されてもおいそれと首を縦に振らないだろう。しばらくは外部から優秀な人材(コーチ)はなかなか呼べないかもね。そうなると、若手育成からチーム作りまで頭打ちなるんじゃないかな』。ぐうの音も出ませんでした」
――ファンの怒りの声をまるで報道しない地元メディアに対し、不信感を抱くファンが大勢いる。地元メディアはどう思っているのか?
「それを言われると本当にツラい。でも、ここで落合擁護、球団バッシングで報道してしまうと、確かに共感は得られるかもしれない。でも、来年から締め出されたり、冷遇されるのは火を見るよりも明らか。僕は個人的にというか、中日ファンとしては一連の騒動は腹が立つ。でも、現場の人間が四苦八苦してるのを見てるから、彼らの気持ちもわかる。複雑な気持ちです。まぁ、何度も言いますが来年からは高木監督なんです。だったら高木監督に期待する論調にして、仕切り直したいってとこなんでしょうね」
――気概を持ってみては?
「関東には巨人、ヤクルト、ロッテ、関西は阪神、オリックスと複数の球団がある。そうすると、他球団の選手や記者から自分の担当チームの裏情報が入ることがある。でも、名古屋にはドラゴンズしかない。だから、締め出されると本当にネタが入らないんですよ。解説者から話聞こうにも、在名マスコミのお抱え解説者はみんな中日OBですしね。こうなると、もう、八方塞がりです。しかも、落合さんを擁護しても来年からは高木さんという事実は変わらないわけで、そうなると、火消しというか高木監督押しに回った方が得策となるワケです」
――どんな方法で?
「ファンの声を無視するというよりもアンチ落合な評論家や著名人の声で、采配を暗に批判したりして、その後にしっかり高木さんのニュースを入れる。“地元新聞”の投書欄は一般読者の『落合さんはヤメた方がいい』なんて“声”を載せる有様。しかも、監督解任に反対するという声を1つ載せて、あとの2つは解任賛成の声というように公平感をしっかり演出(苦笑)」
――実際に上から火消しの指示はあったのか?
「う〜ん……。『アンチ落合でやれ』って明確な指示はない。来年から高木さんが監督ってのは変わらないわけで、それに配慮してということは考えられるますが。落合監督に関してはコメント取れない、会見やらない、選手のケガの情報もない。これじゃ紙面も番組もうまく作れないってのは、事実だったわけです。仲の良い評論家には喋ってくれるというけど、毎週江川さんを名古屋に呼べるのかって言ったら、そりゃ答えはNOです。制作費の問題だってあるわけだし。制作する現場の人間はそういった恨み辛みにも似た葛藤がありますからね。そりゃここぞとばかりに落合解雇当たり前的なコメント取りに行きますよ」
――今や時代はネット社会。そんなことくらいで情報操作ができるとは思えないのだが……
「名古屋なら、東海圏ならできると思い込んでる方々はいますね。中日新聞の東海地方における新聞シェア率は8割、9割とも言われています。おまけに名古屋のマスコミ関係者、特に上層部は『名古屋や岐阜はまだ田舎だし、年寄りはネットを見ない。だから新聞やテレビで言ってることが本当で、ネット情報は嘘、怖いと読者は思うはず』と本気で思ってる節がある。まぁ、さすがにTテレビさんはネットの怖さを思い知ってはいますが(苦笑)」
――ナメてますね。
「完全にナメてます(笑)。名古屋のマスコミは終始こんなもんです。みんな仲良しクラブですから。野球とは違うんですが、こんな話もあります。随分前、とある新聞社ではグランパスの担当記者になったのはサッカーを知らないギャンブル担当の記者だったんですよ。記者席で『すいません。オフサイドってなんですか?』って聞いて、他社の記者から失笑されてました。まぁ、さすがにマズイんで、すぐに配置換えされましたが……。でも、仮にも名古屋が誇る2大プロチームですよ。そこになんにも知らない記者を平気でよこす神経がわからない。みんな適当なんですよ、悲しいですが」
ファンの声は球団に届くのだろうか……。
取材/テポドン
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