G.G.佐藤も思わず絶叫。引き締まった筋肉のようなスバルWRX STIはキモティ!
去年の夏にフルモデルチェンジを実施したスバルの高性能スポーツモデル「WRX STI」。市場はもちろんレースの現場でも、BMWやアウディなどのヨーロッパのスポーツモデルと真っ向から勝負するために性能を高め、質感を磨き上げた。「走りの良さ」を売りとするスバルにとって、もっとも重要な入魂作といえるWRX STIは、私マリオ高野のような守旧派スバルファンの期待を裏切らない出来ではあったが、スバルファン以外のクルマ好きはどのように感じるのか? プロ野球界随一のクルマ好きとして知られたG.G.佐藤氏(西武やロッテで活躍)に1週間預け、ガッツリ試乗した感想を有り体に語ってもらった!
今回G.G.佐藤氏に乗ってもらったのは、WRX STIの最強グレードType S。巨大な羽根やビルシュタインダンパーを装備した武闘派モデルなので、サスペンションは硬めのセッティングだ。
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――乗り心地はどうでしたか?
実は、乗り心地の第一印象は良くなくて、乗り始めはサスペンションが硬すぎると感じました。直前に乗ってたのが、足が柔らかいクラウンアスリートだったせいで、相対的により硬く感じたせいもありますけど、これじゃ街乗りはちょっと厳しいんじゃないかと。でも、すぐに慣れましたね。硬いっちゃ硬いですけど、無駄な揺れを一発で収束させるところは、引き締まった筋肉を思わせる感じでキモティ!(笑)。この引き締まった筋肉と、超骨太な高剛性ボディの強さがビシビシ伝わってくる感覚は最高ですよ。ちょっと古典的なフィーリングかもしれませんが、古めのクルマが好きな人には歓迎されるはず。個人的には全然オッケーな硬さです。WRX STIにはダンパーの減衰力を少し緩やかにした標準仕様(羽根なし)もあり、さらにマイルドな仕立てのWRX S4というモデルも設定されているようなので、一緒に乗る家族からNGが出たらそっちの選択肢もアリじゃないですか。僕はWRX STI Type Sの、この硬さが気に入りましたよ!
――エンジンは、308馬力を発生する2リッターの4気筒水平対向エンジン。空冷時代のポルシェの水平対向エンジンを愛する身として、そのフィーリングはどうですか?
僕はこれまで、ATでは大排気量の大パワー車に乗った経験はありますけど、MTではナローのポルシェ911や、イタリア時代に足にしていたフィアット・プントなどの非力なエンジンしか乗ったことがなかったので、最初は扱いに戸惑いました。街中では、出力を抑え気味にしているインテリジェントモードでもトルクがありすぎるぐらいですね。でも、2~3日たって身体に馴染んできてからは、S♯モードでの加速力と、右足がアクセルペダルに触れた瞬間から反応するレスポンスの良さに、痺れるようになりました。加速力は、イタリアのスーパーカーのようにあり過ぎると持て余しますけど、WRXはヤバいぐらい速いのに扱い切れてる感じがするのが良いですね。シャシーが安定してるからかな。あと、エンジン音はかなり好みの音質です。欧米の高額なスポーツモデルにありがちな、わざとらしい演出による迫力ではなく、WRX STIのエンジンは”ホンモノ”の良い燃焼音がします。1週間お借りしましたが、一度もオーディオのスイッチを入れることなくクルマとの対話に没頭できました。水平対向エンジン特有のビートがたまらない! もっともっとこのクルマに乗っていたいですよ!(笑)
――1週間乗ってみて、一番気に入った部分はどこですか?
やっぱりワインディングロードでのハンドリングですよね。超絶よく曲がるのにビタッと安定していて、コントロール性が抜群にイイ! ブレーキも文句なくよく効く。着座環境というか、ポジショニングが完璧なのも猛烈気に入りました。運転に没頭するための環境の整え方が素晴らしい。人間工学ヲタクのドイツ車以上ですよ。
――スバル車は「走りは良いけどデザインがイマイチ」と評されることが多く、最新モデルでは内外装のデザインにかなり力を入れているが、デザインの印象はどうですか?
外観も内装も、基本的なデザインは良いのに、ちょっと余計に頑張り過ぎているような部分がもったいないかな。僕自身の好みがクラシカルな方向にあるせいもありますけど、フロントマスクあたりは近未来感を出し過ぎているような気がします。特にヘッドライトまわり。内装も、デザインは良いのに赤いアクセントを散りばめ過ぎている感じで、やや小細工に走り過ぎた感が。もっとシンプルで良かったかもしれませんね。あと、デカイ羽根はちょっと恥ずかしいかな。個人的には、先々代のレガシィ(4代目)の内外装デザインがスバル車のベスト。今、限定車のS402を本気で探してるぐらいです!(笑)
――現役バリバリの野球選手が乗るとして想像すると、スバルのWRX STIという選択肢はアリ?ナシ?
全然アリじゃないですか! バリバリ一流の野球選手が、こういう硬派なMTのスポーツモデルで球場に乗り付けるのはすごく格好イイですよ! 定番のベンツやアウディじゃない、違いのわかる男っぽさも表現できるじゃないですか。僕もマリオさんに薦められるまではスバルをあまりよく知らなかったけど、今までちょっと損をしていたかも。新型WRX STIは間違いなく一番面白い国産車だと断言します! プロ野球選手はもっとスバルに注目すべきですね。ドイツ車やレクサスばっかり乗ってる場合じゃない(笑)
――ちなみに、引退後の生活はどうですか?
2014年シーズン限りで現役を引退した後は、建築現場の測量・調査・設計・地盤改良工事を請け負う株式会社トラバースの営業マンに転身しました(参照:https://nikkan-spa.jp/792121)。毎日スーツ姿で慣れない営業の仕事に悪戦苦闘していますが、プロ野球選手生活で学んだ”ファンを喜ばせるために大事なこと”は、一般企業での“顧客第一主義”に通じるものがあります。勉強すべきことは山積してますが、そのぶんだけ伸びしろが多いと思えばワクワクしますよ!
G.G.佐藤氏は本気でWRX STIのことが大変気に入ったご様子。スペックやメカニズム面にスバルの入魂ポイントが満載の渾身モデルだが、理屈抜きに、ただひたすら純粋にクルマ好きの魂を揺さぶるような感動を与えてくれる。スバルのWRX STIとは、そういうクルマなのである。 <取材・文・撮影/マリオ高野>1973年大阪生まれの自動車ライター。免許取得後に偶然買ったスバル車によりクルマの楽しさに目覚め、新車セールスマンや輸入車ディーラーでの車両回送員、自動車工場での期間工、自動車雑誌の編集部員などを経てフリーライターに。その後、群馬県太田市へ移住し、現在は太田市議会議員に。X(旧Twitter):@takano_mario
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