「遺伝子検査」はすべてがわかるわけではない!?
今話題の遺伝子検査。病気が防げる? 画期的なダイエット法がわかる? そんな期待を抱かせる、お手軽“遺伝子検査キット”の実態に迫る!
◆遺伝子検査ですべてがわかるわけではない
DeNAやヤフー!など、大手IT企業が相次いで遺伝子ビジネスに参入。いまや在宅で受けられるようになった遺伝子検査は特別なものではなく、誰もが気軽に試せるサービスとして注目が高まっている。
認定遺伝カウンセラーの四元淳子氏によれば、遺伝子を検査し、DNAの並び方を読むこと自体は、技術や機械の進化によって比較的容易になってきているそうだ。以前はたくさんの量の血液を採らなければわからなかったのが、今では頬の粘膜を採る程度でも、最新の機械によって遺伝子の状態がわかる。しかし、
「遺伝子の様子がわかっても、それは意味を理解しづらい外国語や古代の文章を翻訳するようなもの」
というのが四元氏の見解だ。そして、それらを誰がどう翻訳、解釈するのかが一番重要となるポイントなのだそう。
また、一般的な病気や肥満は遺伝的要素よりも環境要素、つまりどんな環境で生活してきたかのほうが大きく、遺伝子で発症リスクを判定するのは困難というのが現時点での見解だと四元氏は語る。
「例えばアルコールに対してどれくらい耐性があるか、くせ毛や瞳の色などの傾向は、比較的わかりやすいです。一方で、生活習慣病や太りやすさなどは、遺伝子検査でわかる部分は、それほど多くありません。まして、個々の利用者に合わせたパーソナライズド化というようなアドバイスが、有用なほど的確に行えるとは言えないでしょう」
糖尿病や高血圧、肥満などを「遺伝子」の検査によって効果的に回避できるという宣伝を見ると、危機が差し迫る中年族はつい期待を抱きがちだ。ここだけは信用できる!というサービスがあるのでは?なんて思いも募ってしまう。しかし、そんな思惑をよそに、四元氏は次のように続けるのだ。
「現時点では、遺伝子検査によってわかることは限定的。遺伝子検査キットでのサービスを提供する業者はたくさんありますが、そうした限界や実情を明記しているサービスには誠意を感じますね。一方で、遺伝子検査ですべてがハッキリするかのように宣伝している事業者の利用は気をつけたほうがよいでしょう。本当はアメリカのように、しっかりとした検査機関があればいいんですけど……」
⇒【次回】『悪質な企業による個人情報の流用に注意』に続く https://nikkan-spa.jp/842795
<在宅でできる主な遺伝子検査サービス>
●HealthData Lab(4万9800円)
2型糖尿病や喘息、肥満など約110項目の健康リスクと、アルコールやニコチン依存など約180項目の体質がわかるという。また病気のリスクを知ることで、病気が効率的に予防できるとする。唾液採取キットの送付後、2か月以内をめどに、Web上のユーザー専用ページにアップされ、パソコンやスマートフォンから解析結果が確認できる
【四元淳子氏】
認定遺伝カウンセラーであり、お茶の水女子大学の助教。昭和大学病院などでカウンセリングも行っている
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