『日本という物語』をどう伝えるか【第6回】――実証研究に基づいた正しい時代像
諸悪の根源は、イデオロギーという「思い込みのフィルター」
こうして江戸暗黒史観が歴史学界に定着し、教科書を通して教育界に蔓延しました。こうした戦前の薩長史観、皇国史観、戦後のマルクス主義史観(階級闘争史観)は、イデオロギーという色眼鏡(「思い込みのフィルター」と言ってもいい)をかけて歴史を見るため、歴史の事実を見極めることができません。 縄文時代においても、世界の諸文明に劣っているという色眼鏡をかけて見ていたので、縄文貧困説が蔓延してしまったと言えるでしょう。 しかし近年の歴史学では、多くの研究者が実証的な考察を行っており、さまざまな歴史事象の解明が進められています。古文書や資料を丹念に読み込むことにより、正確な時代像を描き出そうとしているのです。原始・古代についても、年代測定技術の向上等により考古学が発達し、旧説を覆す新発見が次々と行われています。実証主義で歴史を見つめよう
当社の歴史教科書の編集会議議長をつとめた伊藤隆氏(東京大学名誉教授)は、わが国の近現代史を実証主義によって解明した第一人者であり、その研究手法については氏の『歴史と私――史料と歩んだ歴史家の回想』(中公新書)に書かれています。 また、同じく執筆・監修に当たった岡崎久彦氏(元駐タイ大使)も常々、薩長史観、皇国史観、マルクス主義史観で歴史を見てはならないと論じ、その詳細は氏の『国際情勢判断・半世紀』(育鵬社)で語られています。 さらに、『日本の歴史 本当は何がすごいのか』(育鵬社)の著書がある美術史研究の大家・田中英道氏(東北大学名誉教授)や、前述の小林達雄氏など碩学の英知が結集され、当社の教科書は編集されました。 本稿で紹介しきれなかった読みどころ・勘どころについては、育鵬社のホームページの「育鵬社の教科書」という欄から中に入っていただくと、教科書の「内容解説資料」というコーナーがあり、そこでお読みいただけます。 また、同じく『虹』という情報誌があり、教科書特集号(平成27年4月号)を同じくHPで辿ってもらいますと、現在の歴史教育の課題などもご覧いただけます。 なお、育鵬社版歴史教科書の正式タイトルは『新編 新しい日本の歴史』です。実際の教科書は全国の教科書取扱書店で取り扱っており、ご注文・お求めの場合は、インターネットで最寄りの教科書取扱書店を検索ください。(連載了) (文責・育鵬社編集部M)
『もう一度学ぶ日本史』 [決定版]大人のための歴史教科書 |
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