歪んだ歴史ではなく、本当の日本史を取り戻そう(中国編)

中国・杭州の湖

中国江南地方からきた稲作文明

歪んだ媚中派の歴史観


 私はこのたび『世界と日本がわかる最強の世界史』に続き、『日本と世界がわかる最強の日本史』を書きました。この姉妹作のコンセプトは、ひとつの統一した視点から、世界が日本にどういう影響を与えてきたか、逆に、世界史における日本の貢献はなんだったのかといったことを考えてみようと言うことです。こういう形で、世界史と日本史が一冊ずつの新書版になっているというのは他にないと思います。

 さて、この「最強の日本史」について説明すると、これまでの日本史本では、アジア史との関連で日本をとらえるときに、あたかも中国史の断片のように位置づけたり、韓国に過剰に配慮しがちだったわけです。それを、この本では、日本国家からの視点を強調しているのが違います。だいたい冊封関係などという言葉は中国の教科書にも出てこないのに、戦後日本の東洋史学者が、中国に媚びるために創った理論です。

 そもそも私は、親中・親韓派だといわれていました。近頃では反中に転向したのかと揶揄されましたが、私のなかではなにも矛盾していません。

鄧小平以後の中国の激変


 まずは中国について、私の考えをお話ししたいと思います。1976年に毛沢東が亡くなり、80年代には実質トップとなった鄧小平によって改革解放路線が展開されました。このとき中国は、時間がかかったとしても欧米的なものを受け入れるだろうとおもわれていました。

 ただ、まずは、経済発展を目指そうとしました。民主主義の採用など政治面のことは後回しということでした。グラスノスチと経済の自由化を一気に進めたゴルバチョフやエリツィンの改革で、ロシアは経済がガタガタになってしまった。それに対して中国は経済を先に発展させたいといっていた。それを、欧米はよく思っていませんでしたが、日本はむしろ現実的な路線として擁護したのです。

 鄧小平が始めた改革は、朱鎔基首相という優れた経済のプロの存在もあってうまくいき、その好調は最近まで続きましたし、日中関係も悪くなかった。ところが、90年代の江沢民時代の後半からはそうではなくなった。その時代はクリントンがアメリカ大統領でしたが、中国はアメリカに対して「第2次世界大戦で日本に対して一緒に戦った仲ではないか」と接近を始めたわけです。

 胡錦濤もそうした路線を引き継ぎました。胡錦濤の時代に経済は大発展してGDPでも日本を抜いたのですが、彼は、自分の取り巻きに限らず、幹部や家族に利権を与えて海外投資をさせたり、富裕層に海外で爆買いをさせたりして不満が自分に向かわないようにしました。

 しかし、こういうことは、ひどい資本流出になりました。もう一つは貧富の差も圧倒的に拡大しました。そこで、胡錦濤の後を継いだ習近平は引き締めないといけないと考えました。この判断は正しい。また、綱紀粛正をガンガンやった。汚職による不正蓄財を取り締まったのです。そうすると、景気は悪くなるし、反発も強まる。

 そこで、本来はバブル経済を軟着陸させるために、欧米や日本に救済を求めてバブルの後始末をするべきだったわけです。日本も中国が融和的で助言に耳を傾けるなら日中友好でいくのがいちばん良いと思っていたわけです。

 ところが、習近平はその代わりに、軍事外交的な成功を収めることで人心をつなぎとめようとした。それが南シナ海での行動につながってくる。尖閣もしかりでしょう。アフリカヘの進出も同じようなことです。

中国の軍事的脅威


 このような中国の軍事行動はたまったものではない。民主化についても、このごろは「未来永劫やらない。中国の特色ある社会主義で行くのだ」などと言い出した。民主主義も試したけど、失敗したからもうやらないと。加えて、専制国家がむいているともいいだしており、いくら特色ある社会主義といっても、結局中国はいつまでたっても専制国家でしかないじゃないかということになる。

 だいたい、日本は自由選挙による議会を明治憲法でやっていたんです。そうすると130年前に日本がやったことをなぜ中国ができない。そんなのおかしいでしょう。

 後進国だった中国は政治体制がそのままで経済だけが巨大になったわけですが、このままでは、先進文明の価値を体現しないような国が世界のリーダーになってしまうのです。それを許しては絶対にダメでしょう。

【八幡和郎(やわた・かずお)】
1951年滋賀県生まれ。東京大学法学部卒業。通商産業省(現経済産業省)入省。フランスの国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任後、現在、徳島文理大学大学院教授を務め、作家、評論家としてテレビなどでも活躍中。著著に『世界と日本がわかる最強の世界史』『皇位継承と万世一系に謎はない』(ともに扶桑社新書)ほか多数。

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