“大人の引きこもり”からの救済②

引きこもり

引きこもりになるきっかけ

 引きこもりになったきっかけは、多い順に「職場になじめなかった」、「病気」、そして「就職活動がうまくいかなかった」というのがある。  新卒で就職活動につまづく場合もあるだろう。また、さまざまな理由で仕事を辞めざるを得なくなり、次の仕事を見つけようと努力をしたものの、思うように決まらない、といった転職に失敗したというケースもある。  本人は、「とりあえず、アルバイトでもいいか……」と納得しても、「正社員で働いてほしい」とか「アルバイトでは先行きが不安」など、本人ではなく“親”のほうが現状を受け入れられず、就職先にダメ出しをする、という場合もあるだろう。  昨今は、景気が回復して人手不足と言われているものの、パート・アルバイト・派遣社員として働く非正規労働者が4割近くを占める最近の状況では、転職組で希望の職種に、しかも正社員で就ける人はそう多くはないはずだ。  廣岡氏は言う。「大人の引きこもりは100万人。この人たちの親がすべて、子育てに失敗した、と誰が言えますか? 子どもの育て方なんて、親が100人いれば100通りあります。引きこもりは子育ての問題の場合もあるけれど、“時代”ということも多分にあるんです」  就職試験を受けては落ちて、また受けては落ちて……を繰り返した結果、復職はおろか、仕事を探す気さえ失せてくる。結果、やる気は失せ、引きこもってしまう。誰がいつ、同じ境遇にさらされてもおかしくない。

現状を見つめる

「どんな仕事でも、できることから始めればいい」。そんなふうに声をかけてくれる親や家族がいたら、引きこもりにならないですんだ人も多いはずだ。  廣岡氏はこうも言う。「規範意識の高い親の子どもほど、引きこもりになる人が多いんです。自分の常識だけで考えず、どうか子どもの現状もしっかり見てほしい」と。  親が子どものことを思うのは当然だ。しかし、現実に直面しているのは、本人。親が死んだら頼れるのは自分しかいない。子どもの自立を本気で望むなら、親は自分の子どもを崖から落とす、獅子の子落としの気持ちで、あえて子どもを突き放すことも必要だ。  前述の非正規労働者の問題などは、一筋縄ではいかないし、賃金や労働条件の格差など、親にとっては(もちろん当事者にとっても)心配や不安は山積みだ。そうはいっても、親の気持ちひとつで、子どもの引きこもりを防ぐこともある。  実際に引きこもってしまった場合は、事態は複雑だ。気持ちひとつでは、どうにもならないことも多いのも現実だ。長期化した引きこもりについては、どう解決していくか。次回、廣岡氏の具体的な取り組みについて紹介していきたい。 (文/、『「大人の引きこもり」を救え!』取材班)
「大人の引きこもり」を救え!

引きこもってしまった人を社会復帰させる支援を行っているワンステップスクール校長による活動記録。

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