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朝鮮半島の有事を救う【岡崎久彦大使の安全保障論】(1)――集団的自衛権の行使容認が日米同盟の絆を深めた
2017年04月28日
朝鮮半島の有事を救う【岡崎久彦大使の安全保障論】(1)――集団的自衛権の行使容認が日米同盟の絆を深めた
育鵬社編集部M
集団的自衛権解釈変更の閣議決定を記念した岡崎大使自作の漢詩。安倍晋三首相に贈る。
朝鮮半島が有事となったら
日本海の波が高い――。北朝鮮の核ミサイル保有が現実となりつつある中で、それを許さないアメリカのトランプ大統領と、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の間で熾烈な神経戦が展開されている。 トランプ大統領の要請を受けた中国も北朝鮮に圧力をかけ、他方、ロシアも独自の締め付けを行っている。 何らかのはずみで暴発が起これば、韓国に在留している約3万6000人と旅行者などを含めた日本人約5万人の安全確保のみならず、日本本土への攻撃対応など、戦後、わが国が経験したことのない有事に発展する。観念的な平和論では解答が出せない国際力学のぶつかり合いであり、現実を直視した具体的な安全保障の対応が迫られる。 いうまでもなく日本は、一国で安全を確保できる能力はなく、戦後は日米安保条約という日米同盟によって安全を確保してきた。
大統領選中は、在日米軍の撤退も示唆していたトランプ氏だったが
これまでのアメリカ歴代大統領は日米同盟を維持してきたが、トランプ氏の大統領選中の発言を振り返ると、「米国は日本を防衛する義務があるのに、日本は米国を防衛する義務を負わないのは不公平だ」という、いわゆる「安保タダ乗り論」を繰り返し述べて、米軍撤退の可能性にも言及していた。 しかし、今から3年前の平成26(2014年)年7月に、安倍晋三内閣は集団的自衛権の行使容認を閣議決定した。それまでの日本政府の考え方は、日本は集団的自衛権をもつが、憲法第9条の制約から行使することはできないという憲法解釈をしていたが、一定の条件のもとで集団的自衛権の行使は認められるという解釈に変更をした。 集団的自衛権とは、国際関係において武力攻撃が発生した場合、攻撃を受けた国と密接な関係にある他国が、その攻撃を自国の安全を危うくするものと認め、必要かつ相当の限度で反撃する権利である。 これにより自衛隊は、駆けつけ警護の訓練などを行い、東アフリカの南スーダンに安全保障関連法に基づく駆けつけ警護の役割を与えた部隊を派遣するなどした。
日米同盟の強化が確認された日米首脳会談
大統領に就任したトランプ氏は、日本の集団的自衛権の行使に関する憲法解釈の変更を、安全保障の担当官から当然の如くレクチャーを受けたのだろう。今年2月に行われた日米首脳会談では、大統領選中の演説とは異なり日米同盟の強化が確認された。 そして今や、世界最強と言われるアメリカ海軍の原子力空母・カールビンソンが日本海に赴くなど、北朝鮮ににらみを利かせている。さらに、その空母を護衛すべく日本の海上自衛隊の護衛艦が航路で共同訓練を行うなど、日米同盟の絆は深まっている。 これはひとえに、日本の集団的自衛権の行使容認をアメリカが評価した結果ではないかと考える。その憲法解釈変更に尽力し理論的支柱となったのが、安倍政権のブレーンであった岡崎久彦大使である。 本連載では、刻々と動く現在の北朝鮮情勢とは離れ、より根本にある岡崎久彦氏の安全保障論の根幹を探ってみたい。(続く) (文責=育鵬社編集部M)
育鵬社編集部M
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