勝つための情報学…④ファーウェイ副会長逮捕

トランプと習近平

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本気のアメリカ

 昨年末、中国の通信機器メーカー・ファーウェイの孟会長の娘・孟晩舟副会長が自宅のあるカナダで身柄を拘束された。アメリカ司法省による逮捕要請を受けたものだった。  中国はすぐさま、「事実無根で、即刻、彼女の釈放をすべき」と強硬に主張した。副会長はその後保釈されたが、自由は制限されたままだった。  そこで中国はカナダに対して、「我が国はカナダに比べると圧倒的に強国である」と強い調子で主張した。要するに脅しているのだが、カナダは中国の発言に反応はしなかった。  今回のアメリカ司法省のファーウェイに対する容疑は、イランとの取引についてだったが、狙いはファーウェイがアメリカの企業から長年にわたって技術を盗み出していることに対するもの。  アメリカとしては、政府機関の通信機器の調達先からファーウェイを排除する方針を出し、日本でも同様の措置が発表された。  日本において、ファーウェイ製品は他のメーカーの商品に比べると割安にもかかわらずハイスペックだという評判を得ていた。  そのうえ、ファーウェイは次世代通信である5Gでもアメリカを上回っているともいわれている。だから、アメリカは強引であってもファーウェイを締め出したいのか、と感じた日本人は多いだろう。  しかし、昨年8月の国防権限法、10月のペンス副大統領の発言以降のアメリカの方針を見ていくと、アメリカは国家として覇権を目指す中国を抑えようと考えているのだろう。

日本はスパイ天国

 アメリカは知的所有権の流出問題で、近年、違法なスパイ行為を徹底的に取り締まる姿勢を見せていたが、今回のファーウェイ事件の出来事を、日本人は他人事のように感じてはいないか。  つまり、日本人は産業スパイが日本国内にいるだろうとは理解はしても、外国人に対して一応、用心をしておくという思いまでには至らない。  しかし、ITビジネスアナリストの深田萌絵氏によると、なんと、彼女はIT企業の経営者として、何年も前から中国からの産業スパイ行為を断続的に受けていたそうだ(『日本のIT産業が中国に盗まれている』ワックより)。  しかも、深田氏は日本の防衛、警察、関係省庁などに、スパイ被害の告発を行っていたのだが、どこも「管轄ではない」と真剣に聞こうとはしなかったという(同上)。 「お花畑」にいる感覚がまだまだ日本国内を覆っているが、産業スパイは日本の防衛体制をも破壊しかねない。つくづく日本の危機意識の低さが危ぶまれる。 参考:『勝つための情報学~バーチャルからリアルへ』山村明義著(扶桑社新書)
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