日本を救う水力発電イノベーション1

水力発電が日本を救

う  資源のない国、日本──この問題こそ、わが国の存続にとって、文字通り最も深刻なものの 一つだ。近代文明はエネルギーがあってはじめて駆動する。  一方で、国産エネルギーは限られており、そのほとんどが外国からの輸入だ。例えば、エネルギーの中でもとりわけ重要な電力の自給率はたった1割。  だから万一の事態が生じ、何らかの理由で日本への資源輸入が滞るようなこと があれば、わが国の近代文明は瞬く間にその活動の大半を停止せざるを得なくなる。  それはまさに、日本の国家の存続にかかわる「有事」である。一般にこうした問題は、「エネルギー安全保障」と言われている。  ただし、エネルギー自給率の低さは「有事」においてのみ問題なのではない。「平時」においても、それは深刻な問題を引き起こしている。  そもそも、日本のエネルギー輸入額は約 28 兆円(2014年時点)。もしもこれだけの資源が「国産化」できたなら、それは「28兆円産業」がわが国に誕生することになる。  それは、「雇用」で言うなら340万人分、労働者一人当たりの給与所得で言うなら約 44 万円に相当する (その「乗数効果」、すなわち、その波及効果まで含めて考えるなら、雇用や所得増は上記数値のさらに「2倍」前後もの水準に達する)。  つまり、日本のエネルギー自給率の低さは、日本の雇用、あるいは、国民の所得を大幅に縮減させているのであり、今日のデフレ完全脱却、あるいは、経済成長にとっての大きな「足かせ」となっているのである。  それ故、エネルギー安全保障のみならず、デフレ脱却、経済成長のためにも、国産エネルギーの開発を通したエネルギー自給率の上昇は、極めて重要なのである。

有望な国産エネルギー

 そんな中で、わが国においてとりわけ有望な国産エネルギーが、水力発電である。  モンスーン気候で大量の雨が降り、しかも国土の7割以上が山地であり、至る所に急峻な斜面が存在するわが国日本は、水力発電にとって極めて有利な自然環境を持つ。  こうした気候条件は、我々に洪水リスクをもたらしていると同時に、豊富な電力を供給する「天の恵み」でもあるのである。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』(共に育鵬社)、『令和日本・再生計画 前内閣官房参与の救国の提言』(小学館新書)など多数。
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