『大きな努力で小さな成果を』について(1)

鍵山5(書影:縮小)

イエローハット創業者の仕事と人生の集大成

編集者は第一の読者

 その人と会うと、自分の未熟さ、至らなさを痛感するとともに、おのずと尊敬の念がわきおこってくる、そんな方のお一人が鍵山秀三郎先生だ。自身が創業したイエローハットの経営者として長年活躍されたのち、現在は「日本を美しくする会」の相談役として、掃除の実践を通して、世の中と人の心の中のすさみを取り除くことに力を注がれている。  その鍵山先生の著書『大きな努力で小さな成果を――平凡なことを非凡に努める「凡事徹底」の生き方』(育鵬社)を先月刊行させていただいた。  本書について、数回にわたり取り上げて、その内容や鍵山先生のお人柄などをお伝えしたいと思う。  これまで編集者として数多くの本の出版に携わってきた。そうした1冊1冊の本には、それぞれに思い出がある。そうした編集者の仕事は、よくお産のときの助産婦さんにたとえられる。確かにそれに近いのかもしれないと思う。  本を産み出すのは著者。編集者はそれを支え、助ける。そのためには、常に冷静でなければならない。もちろん、冷静であるように努める。だが、著者と一番近いところにいて、その苦しみ、喜びも共有している。本が産まれたときの感動もひとしおである。  ときには、思わず涙を流すこともある。読んでいる原稿の文字が涙でかすんで、その先に進めなくなったこともある(めったにないけれど)。文字に記された著者の思いのあまりの重みに、思わずうなってしまうこともある。本書は、文字を通して、著者の人生の様々な場面に立ち会い、その時の情景がまざまざと思い浮かび、著者の痛切な思いが感じられて、目頭が熱くなった。もちろん、それは疑似体験であって、自分のものではないのだが、まるで自分が同じ体験をしているように、著者と共に感じているのである。編集者はそういう意味では、最初の読者でもある。  さて、話は最初から横道にそれる。  鍵山先生のすごさは、先生に会った人ならば誰もが実感として感じていることだろう。それを語る適任者に、長年、先生に仕えてこられた阿部豊氏がいる。このたび、『ひたすら鍵山掃除道』(定価350円)を上梓されるというので、関心をお持ちの方は、一読されてはいかが(5月18日発売予定)。  問い合わせ先:櫻井雅人 090-1234-0325、池永重彦 090-3973-9735、メール:kgsoujido@gmail.com (次回に続く) 鍵山秀三郎(かぎやま・ひでさぶろう) 昭和8(1933)年、東京生まれ。昭和27(1952)年、疎開先の岐阜県立東濃高校卒業。昭和28(1953)年、デトロイト商会入社。昭和36(1961)年、ローヤルを創業し社長に就任。平成9(1997)年、社名をイエローハットに変更。平成10(1998)年、同社取締役相談役となり、平成20(2008)年、取締役辞任。平成22(2010)年、退職。創業以来続けている掃除に多くの人が共鳴し、その活動はNPO法人「日本を美しくする会」として全国規模となるほか、海外にも輪が広がっている。著書に『凡事徹底』『続・凡事徹底』(以上、致知出版社)、『鍵山秀三郎「一日一話」』『すぐに結果を求めない生き方』(以上、PHP研究所)などがある。
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