『大きな努力で小さな成果を』について(4)

鍵山4(里さんの本:縮小)

里みちこさんの第2詩集『かけはし』

予期せぬ素敵な出会い

 編集の過程で、予期せぬ素敵な出会いをいただくこともある。  『大きな努力で小さな成果を』も、少なからぬ方々のお力添えをいただくことで、その刊行へと至ることができた。そのお一人お一人のお名前を挙げることはできないが、感謝の気持ちでいっぱいである。  その中のお一人が、詩人の里みちこさんだ。  本書の「心あるところに宝あり」の中に、里みちこさんの「19歳への手紙」という作品が紹介されている。  「生きるということ」という見出しの項目で、19歳で亡くなった奥井理という青年画家の遺作を見た里さんが、「生きてて死んでいるような人が多いなかであなたは死んでもなお生き続けているんですね。死者はこんなに美しい贈りものを残していけるのですね……」と、やさしく語りかけた手紙の一部である。  引用がされている以上、その出典を確認し、間違いがないか確かめなければならない。  そのため、「19歳への手紙」の原点に当たろうとしていたら、結局、里みちこさんご自身と連絡を取ることになったのである。結果、里さんご自身に、一部引用の誤りを訂正していただいた。  作業としてはそこで終了だ。だが、里さんはとても素敵な人だった。  「育鵬社の昌宏さんですね。会社名とお名前の中に、お月様が二つ、お日様が二つ、あるんですね」と、おっしゃって、後日、自作の詩「月のブランコ」を印刷された素敵な「詩はがき」で、お便りをくださった。それはお月様とお日様を題材にした、母と娘の深い愛情を作品にしたものだった。  その「詩はがき」に感動したので、里さんの他の詩や、詩をはがきにした「詩はがき」が欲しくなり、いくつかを購入した。  いま、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために「ステイホーム」が提唱されている。この先、一体どうなるのだろう、という不安が万人を覆っている中で、里さんの詩は安らぎを与えてくれるだろう。関心のある方は、南天荘画廊 http://nantensogaro.com/satomichiko/ 電話 078-851-6729 にお問い合わせください。 鍵山秀三郎(かぎやま・ひでさぶろう) 昭和8(1933)年、東京生まれ。昭和27(1952)年、疎開先の岐阜県立東濃高校卒業。昭和28(1953)年、デトロイト商会入社。昭和36(1961)年、ローヤルを創業し社長に就任。平成9(1997)年、社名をイエローハットに変更。平成10(1998)年、同社取締役相談役となり、平成20(2008)年、取締役辞任。平成22(2010)年、退職。創業以来続けている掃除に多くの人が共鳴し、その活動はNPO法人「日本を美しくする会」として全国規模となるほか、海外にも輪が広がっている。著書に『凡事徹底』『続・凡事徹底』(以上、致知出版社)、『鍵山秀三郎「一日一話」』『すぐに結果を求めない生き方』(以上、PHP研究所)などがある。
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