一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる(3)

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「消しゴム」のイラスト(作 藤田麻衣子)『一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる』本文より

『あなたは幸せになる』

 藤田麻衣子さんの曲の中で、一番人気があるのはおそらく『あなたは幸せになる』という曲だろう。  2020年6月2日発売、藤田麻衣子著『一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる――願いが叶っていく58の気づき』(育鵬社)には、この曲がどのようにして生まれたのか、その経緯について詳しく書いてあるので、気になる方はぜひ読んでいただきたい。  まだ『あなたは幸せになる』を聴いたことがないという方は、ぜひ聴いていただきたい。この曲は、一所懸命にがんばっている人、一人で孤独な闘いをしている(と思っている)人たちの心を励ます応援歌である。  藤田さんの曲には、デビュー曲『恋に落ちて』に連なる切ない恋愛ソングと、『あなたは幸せになる』などの人生の応援ソングが二大派閥のようにあると思うが、老若男女の心をとらえているのは人生の応援ソングの方だろう。  「お父さん、お母さん、今日まで私を大切に育ててくれてありがとう」という花嫁の言葉を歌詞にした『手紙~愛するあなたへ~』は、結婚式の会場で新郎新婦から両親への感謝の言葉や花束贈呈の場面などでBGMとして流れ、人生の特別な一日を、思い出深いものに演出している。この曲はクリス・ハートさんのカバーアルバムの中にも収録されている。本書にも、この曲が誕生した意外な背景が詳述されていて面白い。  日本テレビの『はじめてのおつかい』という番組は、幼い子供たちが、両親から頼まれた買い物を、家からお店まで一人で出かけて行って、無事にその用を済ませて帰ってくることができるかを、視聴者がハラハラしながら見守る番組だが、その番組挿入歌として流されるのが、『やるしかない』と『素敵なことがあなたを待っている』という曲である。  子供たちが目に涙をいっぱいためて、でも泣くのをがまんしながら、買い物をかかえて両親が待っている家に向かう姿に、「がんばれ! がんばれ! もう少し」などと応援しながら見ている視聴者の涙腺をくすぐっているのがこの曲だ。BGMとして流れているのが藤田さんの曲とは知らずに、涙している人も多いと思う。  『wish~キボウ~』は2019年2月・3月にNHK「みんなのうた」として流れた曲だ。自身初めての休養期間を経ての曲、挫折を味わってからの曲ということもあって、決して明るい曲ではないのだが、自然災害などで被災した人たちの心に寄り添うような応援歌となった。  『明日も笑おう』という曲は、コンサートでは藤田さんと観客が一体になって歌う曲で、会場の老若男女から笑顔があふれる。「今は大変でも、前を向いて歩いて行こう」という前向きな気持ちにさせてくれる曲である。  こうした人生の応援歌、人の心に寄り添うような歌を、藤田さんはこれからも作り続けるだろう。実はそうした自分の役目を自覚しているのだ。それを藤田さんは「消しゴム」と呼ぶ。詳しくは本書を読んでいただきたい。 (文:育鵬社編集部O)
一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる 願いが叶っていく58の気づき

切ない恋愛ソングや人生の応援ソングなどで若い女性を中心に老若男女の幅広いファンを持つシンガーソングライター藤田麻衣子、初の書下ろしエッセイ。

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