一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる(4)
『やるしかない』
2019年秋。 「実は藤田が本の原稿を書いたんです……」 事務所の方から原稿をお預かりした。 こちらから、こういう内容の本を書いてくださいとお願いして書いてもらったのではなく、いわば出来上がった原稿を預かった形だ。 そのことについても本書に書かれているのだが、藤田さんとしては、自分の内からあふれてくる思いを言葉にした本を、誰にも干渉されずに作りたかったのである。曲作りに対する姿勢とも重なるかもしれない。藤田さんは全曲、作詞・作曲:藤田麻衣子だ。すべてを自分で創り上げる。「100%純正・無添加」なのだ。 そうとなれば編集者としての私のスタンスも決まってくる。「100%純正・無添加」の美味しさを、そのまま読者に味わってもらえるようにすることだ。 2020年2月。 6月2日の発売に向けて編集作業が本格化。原稿の手直しが始まる。やるしかない。 藤田さんは、何度かの原稿の見直しの過程で、最初は心もとなく感じられていたようなところも、見事に自身で手を加えて、最初の原稿からは見違えるほどの出来栄えに仕上げていった。センスがいいのだ。正直ここまでよくなるとは思わなかった、と言ったら失礼かもしれないが、それほど、直しは的確だった。 本作りに対して示された姿勢は、曲作りでの姿勢と共通するものがあるのだろう。一語一語、細部へのこだわりが感じられた。気になるところは何度でも書き直すのだ。 そして、編集作業のヤマ場はゴールデンウィークだった。ここで一気に、さらによく仕上がっていった。藤田さんも、ブックデザインを担当してくれたデザイナーの村橋雅之さんも、本当によくがんばってくれたと思う(「よくがんばったね。おつかれさま…」)。 5月8日の藤田さんのツイートは、そうした本作りの様子が感じられるものになっている。 「もういやだと思うくらいになってきたから、本当にいいものにしたいんだなぁと実感してます。 これぐらいがんばりたい、でもこんなにがんばりたくなるほどのものに、そういくつもは出会えない。 これだけはどうしてもやりきりたいと思えたら、本気でやらないとと思います」 藤田麻衣子著『一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる――願いが叶っていく58の気づき』(育鵬社)、6月2日発売。 (文:育鵬社編集部O)
『一つ言葉にすれば 一つ何かが変わる 願いが叶っていく58の気づき』 切ない恋愛ソングや人生の応援ソングなどで若い女性を中心に老若男女の幅広いファンを持つシンガーソングライター藤田麻衣子、初の書下ろしエッセイ。 |
ハッシュタグ
ハッシュタグ
おすすめ記事