「道の駅」による地方創生イノベーション8

「道の駅」は地域活性化を導く「重要装置」である

 そもそも、「地方創生」の行政的意志を受けたこれだけの規模の「小売り商業施設」が、この「道の駅」以外にあるのかと考えれば──筆者には思い当たらない。  仮にあったとしても、集客において何よりも重要な「交通アクセス性」が「道の駅」ほどに容易に確保できる施設は希有だろう。 「休憩施設」が道路沿いにあるのは当たり前だが、「地方創生」にとっては「道の駅」の高い交通アクセス性は大いなる魅力なのだ。  だから、「道の駅」を単なる「休憩施設を延長したもの」と捉えるのではなく、「地方創生装置」として明確に認識することが、全国各地の地方創生のために今、求められているのである。  すなわち、「楽座」のように、「大量の通過交通からの集客」や「良質な交通アクセス性」という「道の駅」の強みを最大に発揮しつつ、そして(例えば富士山などの)その地の「観光資源」を最大限に活用しながら、利用者に「良質なサービス」を提供することの引き換えに「域外マネー」をしっかりと吸収していく。  そしてそれを通して、⑴地域産業を育成し、⑵雇用を生み出し、⑶地域住民にも資する良質な商業・娯楽サービス施設(という地域資産)を形成する。  こうすれば、「道の駅」利用者は、その土地ならではの良質なサービスを享受できると同時に、地域社会は潤い、活性化し、創生していくのである。

「道の駅」を活用した「地方創生イノベーション」

 規制緩和やあらゆる行政サービスの民営化が主流の今、全国各地のあらゆる地域の「富」は、「ビジネス(商売)の論理」に基づく大都市の大資本たちによって、収奪され続けている。  そんな中、「道路」というネットワークの公共物を活用した「道の駅」を通した地方創生は、「パブリック(公共)の論理」の下で地域社会を防衛し活性化していく、数少ない実効性のある有望なアプローチなのだ。  おそらくは全国各地には、「楽座」と同様の成功が期待できるポイント(あるいは既設の「道の駅」)が、数多くあるに違いない。  だからまずは全国各地の「道の駅」の一つ一つを単なる「休憩施設の延長」と見なすのではなく「地方創生の装置」と見なしたうえで、「さらに集客を増やし、さらに地域産業を活性化していくことは可能か?」という視点で詳細にチェックしていくことが必要だろう。  あるいは、「楽座」のような「道の駅」が整備できないかという視点で既存のSAやPAの一つ一つを網羅的にチェックしていくというアプローチもあり得よう。  いずれにせよ、今、じり貧に陥った全国各地の「地方の創生」を図るには、発想の転換が求められている。そんな中で、「道の駅」を「地方創生装置」と見なす新たな発想の下で「地方創生イノベーション」を進めていくことが今、強く求められている。  本稿がそうした第二、第三の「楽座」の誕生につながらんことを、心から祈念したい。 藤井聡著『インフラ・イノベーション』(育鵬社刊より) 著者紹介。1968 年奈良県生まれ。京都大学大学院教授(都市社会工学専攻)。第2次安倍内閣で内閣官房参与(防災・減災ニューディール担当)を務めた。専門は公共政策に関わる実践的人文社会科学。著書には『コンプライアンスが日本を潰す』(扶桑社新書)、『強靭化の思想』、『プライマリー・バランス亡国論』、『【令和版】公共事業が日本を救う』(育鵬社)、など多数。
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