北朝鮮の外交官、金平一【キムピョンイル】氏。ハンガリー、ブルガリア、フィンランド、ポーランド、チェコなど欧州各国の特命全権大使を述べ31年にわたって歴任した。金日成と金聖愛の息子で、金正日の異母弟。(ウィキペディアより)
革命的血統が引き起こす親族間の複雑な抗争
暗殺された金正男氏
金正恩委員長の補佐をしている金与正氏は、金正恩の実の妹ですから、金正日氏、金正淑氏の系統を引き継いでいます。 ところで金正日氏には、金正男【キムジョンナム】氏という正妻の息子がいました。彼は、ディズニーランド訪問のために日本に密航して摘発されたことがある人物です。マカオを拠点に海外活動をずっと続けていました。ちなみに金正男には6人の子どもがいますが、これまた母親が全部違っています。 金正男も革命的血統を継ぐ者の一人でした。しかし、2016年にマレーシアのクアラルンプール国際空港で暗殺されました。北朝鮮の手によるものと言われています。 金正恩氏と故・金正男氏の血統は対立関係にあり、現在、金正男氏の長男の金漢率【キムハンソル】氏は第三国に隠れています。彼は1995年生まれの青年で、彼を支持する自由朝鮮という組織が2019年3月1日に臨時政府を発足させました。あわよくば、金正恩体制を倒して彼を首班に就けようと考えているとも言われています。 北朝鮮では、金日成主席の血統に連なる革命的血統が最高領導者としての地位を世襲する仕組みのため、その親族の中では複雑な抗争が行われます。 金正恩氏が姿を見せない現在、金与正氏が実質的な最高権力を把握していると言っていいでしょう。この体制がしばらく続くのか。あるいは2014年に見られたように、一ヶ月間、金正恩氏が姿を消したときのように短期的な補佐なのか。そこのところは分かっていません。帰国した金平一氏
北朝鮮の外交官、金平一【キムピョンイル】氏。ハンガリー、ブルガリア、フィンランド、ポーランド、チェコなど欧州各国の特命全権大使を述べ31年にわたって歴任した。金日成と金聖愛の息子で、金正日の異母弟。(ウィキペディアより)
拉致問題の鍵を握るチュチェ思想
それと、ここ数年、日本と韓国においては北朝鮮のチュチェ思想の浸透が進んでいます。韓国は、文在寅政権が「チュサッパ政権」と言われているほどに、チュチェ思想主義者に占められています。 日本では、2020年6月に拉致被害者の横田めぐみさんの父で救出活動の先頭に立ってきた横田滋さんが亡くなりましたが、北朝鮮の金一族の今後の動向、そして拉致問題の進展のカギとなるのが、国家理念「チュチェ(主体)思想」であることは言うまでもありません。拉致問題とチュチェ思想との関係については、いずれ述べたいと思います。 本連載では、元日本共産党員だった私独自の視点からチュチェ思想を分かりやすく解説していきたいと思います。 【篠原常一郎(しのはらじょういちろう)】 元日本共産党国会議員秘書。1960年東京都生まれ。立教大学文学部教育学科卒業。公立小学校の非常勤教員を経て、日本共産党専従に。筆坂秀世参議院議員の公設秘書を務めた他、民主党政権期は同党衆議院議員の政策秘書を務めた。軍事、安全保障問題やチュチェ思想に関する執筆・講演活動を行っている。著書に『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(岩田温氏との共著、育鵬社)、『日本共産党 噂の真相』(育鵬社)など。YouTubeで「古是三春(ふるぜみつはる)チャンネル」開局中。日本の教員や大学教授もハマり、拉致問題にも影響を与えた!! 人々を反日に駆り立てるイデオロギーの正体!