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アメリカ版コミケが「セクハラ問題」で大炎上

アメリカ版コミケ「コミコン」 全国からマンガやアニメ好きが集まる夏コミことコミックマーケット。数十万人が訪れる真夏の祭典はファンには堪らないイベントだが、それに先駆けてアメリカ・サンディエゴでは、コミコンと呼ばれるコミックや映画、ドラマなどのコンベンションが行われた。大作映画の予告編が先行公開され、多くのハリウッドスターが登場するなど、全世界が注目するコミコン。オタクのファンタジーが詰まった老舗イベントだが、今年はなんとも“リアル”な問題が発生した。 ◆半裸の女性を起用し袋だたきに  それはコスプレイヤーに対するセクハラ問題。以前から参加者のマナー悪化が指摘されていたが、今年は「ギークス・フォー・コンセント」と名乗る女性グループが警備の強化を求め署名を募るなど、開催前から主催者の対応が注視されていた。  ところが今回も参加者からは「痴漢にあった」「しつこく追い回された」「勝手に写真を撮られた」と、被害の報告が続出。それどころか、ほぼ裸の女性たちが作品のプロモーションに使われ、コスプレイヤーがパネリストに「ちょっとやらしいね」と呼ばれるなど、イベント全体を通して改善される気配はなかった。これに対し、ニューヨークポスト紙は「コミコンでのセクハラという闇の文化」と、かなりキツイ表現でイベントを糾弾。タイム紙や他の主要メディアもこの問題を報じ、コミコンは大炎上した。  一方、世論の反応はというと、セクハラ問題を報じたニュースサイトやコミックファン向けのサイトではコスプレイヤーへの風当たりが強かった。 「やらしい目つきでジロジロ見るってのは何秒からそうなるんだ? 2秒? 5秒? 30秒? 日本のセーラームーンの衣装なんかは意図して刺激的につくられてるだろ。これはフーターズのウェイトレスが男に見つめられたって文句を言うのと同じだよ」 「触ったり、酷いことをいうのは受け入れられない行為だけど、“見られた”っていうのもそうなのか? セクシーなファンタジー系の衣装を着るのは、見てもらうのが目的じゃないのか?」  また、宇宙人の女性(?)を使ったポスターで雰囲気を壊さずにセクハラ防止を訴えたイベントを例に挙げ、主催者の対応が良くなかったと指摘する声や、そもそも来場者のモラルが低下しているという意見もあった。 「コミコンが参加者のことを気にしてるって思うのが、そもそもの間違いよ。主催者にとっては人を集めることが一番大事で、参加者が楽しめるかどうかなんて知ったことじゃないんだから」 「レディーのみんな。参加者の中には、これが女性に近づける唯一の機会だっていう連中もいるんだよ。こういう奴らはコミュ力がまったくないからな」  賛否両論入り乱れているが、男女ともにお気に入りのキャラクターに扮したコスプレはこういったイベントの魅力のひとつ。安易な規制ではなく、文化を守れるような対応が望まれる。 ◆夏コミは日本の安全性をアピールする最高のチャンス  コスプレイヤーへのセクハラの巣窟という悪名が轟いてしまったコミコン。こうなると、国がクールジャパンを推進し、コスプレ文化の世界的リーダーといえる日本のコミケがどうなるのかは気になるところだ。実際にこういった海外のセクハラ問題を国内のコスプレイヤーはどう思っているのだろう? コミケやアニソンイベントなどに多数出演しているという森里美さん(仮名・21歳)に話を聞いた。 「露骨に性をアピールするのはよくないと思いますが、そもそもそれをもてはやす男性がいることが問題なので、どっちもどっちですよね。夏コミでもセクハラ、盗撮、ナンパなど、問題はあります。主催者には警備員を増やしたり、積極的に報告の窓口になってもらいたいですね。撮影者は一声かけるのはもちろん、データ使用の許可や名刺で身元を伝えて、日本のコミケは違うぞってところを見せてほしいです」  やはり、こういった問題は万国共通なようだが、セクハラ野次などのニュースが続いただけに、夏コミは日本の名誉を挽回する最高のチャンス! マンガやアニメを通じて安全性やモラルの高さをアピールすれば、きっとイメージアップにつながるはずだ。 ※参照元 ●NEW YORK POST http://nypost.com/2014/07/27/the-dark-culture-of-sexual-harassment-at-comic-con/ ●COMICS ALLIANCE http://comicsalliance.com/san-diego-comic-con-sexual-harassment-policy-david-glanzer-emerald-city-comicon/ ●DAILY MAIL http://www.dailymail.co.uk/news/article-2705828/Comic-Cons-sexual-harassment-problem-Scantily-clad-female-cosplayers-complain-creepy-geeks-getting-handsy.html <取材・文/林バウツキ泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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