『日本という物語』をどう伝えるか【第2回】――GHQにより戦前の歴史が否定された!

2015年の夏、戦後70年に関する書籍が数多く発刊され、本書もその一つ。

 日本という物語は、家族、学校、会社といった一つひとつの物語が総結集したものです。  日本には創業1000年以上の会社もありますが、わが国の歴史となると、実質的には今から1万5000年前の縄文時代から始まっており、これを1冊の本にまとめることは至難の技です。それでも様々な歴史学者が通史の本を執筆し、学校教育では日本史の教科書が一冊にまとめられています。  日本の歴史も会社の歴史と同様に、すべてが美談というわけにはいきません。近現代史においても近隣のアジア諸国に迷惑をかけたことがあり、その事実は事実として教訓とすべきです。  しかし後述するように、わが国の歴史教育は昭和20(1945)年8月の敗戦により、GHQ(連合国軍総司令部)によって軍事占領され、戦前の歴史が否定されたという不幸な歴史を背負っています。簡単に言えば、日本という物語を伝える際に温かい眼差しをもって語ることが禁止されました。  この点については別の機会に詳述します。

自国を貶める謝罪史観で、自尊感情が持てなくなる

 その結果、自国を貶(おとし)める歴史記述、言ってみれば謝罪史観ともいうべきスタンスが色濃くなり、学校で学ぶ児童・生徒が自尊感情を持ちにくくなり、日本の通史や教科書を読んでも自分の立ち位置を見出しにくくなりました。  こうした状況の中で「新しい歴史教科書をつくる会」の提案を受けた扶桑社では、上述した謝罪史観とは異なる視点で歴史を見直し、平成13年春に中学校用の歴史教科書を文部省(現、文部科学省)の検定に合格させ、また平成17年春には改訂版を合格させ、中学校に提供してきました。  その後、扶桑社の教科書事業を継承する育鵬(いくほう)社が設立され、上述のつくる会との関係は解消されましたが、平成23年春に内容を新たにした歴史教科書が検定合格し、平成27年春には新編が合格し、今春より中学校の1学年約7万5000人(シェア6.3%)に使用されるに至っています。

『もう一度学ぶ日本史』(育鵬社刊)

  教科書は一般書籍と異なるため、書店で見る機会が余りありません。そこで育鵬社では、今春より中学校で使用されている歴史教科書を、一般読者にも読んでいただけるように『もう一度学ぶ日本史』と題し7月4日より発売しています。  本連載の第3回目以降に、その書籍の巻末に掲載した「本書の読みどころ・勘どころ――歴史の事実を見すえて」を転載しました(一部加筆修正あり)。日本という物語を、どのような視点で伝えているかの一端が分かると思います。(3に続く) (文責・育鵬社編集部M)
もう一度学ぶ日本史

[決定版]大人のための歴史教科書

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