更新日:2022年06月22日 00:48
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2050年の人口は90億人…世界中で食料を奪い合う時代に!?

もうすでに手遅れなのか? それとも、今ならまだ間に合うのだろうか? 人類滅亡につながりかねない、人為的に引き起こされている“危機”の現状をリポートする!!

【食料危機】2050年の人口は90億人。世界中で食料を奪い合う時代に!?

干ばつ 独立行政法人 国際協力機構

独立行政法人 国際協力機構より

 人口増や温暖化の進行、水不足などで、極めて厳しい状況になりそうなのが「食料危機」だ。農業ジャーナリストで、『日刊ベリタ』編集長として国際情勢にも詳しい大野和興氏は「’50年には、世界中で食料を奪い合う時代になります」と語る。 「今年6月、英ロイズ銀行のシンクタンクが発表した研究報告によると、’50年までに世界の人口は約90億人に達し、穀物価格が高騰。世界各国で食料を奪い合う暴動や騒乱が日常的に起こり、核保有国であるインドとパキスタンの緊張が高まる。各国でクーデターや内乱が起きるとも予測されています」  そして、すでにその兆候はあると大野氏は言う。 「’08年に投機マネーによる穀物価格高騰があり、中東やアフリカ諸国では貧困層が食料を買えなくなり、暴動が起きました。その後ISのような過激派が勢力を伸ばした地域は、暴動が起きた地域と重なる。食料危機への人々の憤りが政情不安に直結しているのです」  温暖化対策を求めるNGO「気候ネットワーク」の桃井貴子氏も「シリア内戦も、’06~’10年の大干ばつによる食料危機が遠因だとの研究報告がある」と指摘する。食料をめぐる火種は今後ますます深刻なものとなりそうだ。 「FAO(国際連合食糧農業機関)は世界人口の増加に対応するため、’50年までに食料生産を60%アップさせる必要があるとしていますが、大増産は難しいでしょう」(大野氏)  1人あたりの耕地面積は低下し(グラフ参照)、経済のグローバル化で農地が現地の人々の食料生産の場ではなく、輸出用農産物生産の場に切り替わっているという。 ⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1012867
1人当たりの耕地面積の推移

1人当たりの耕地面積の推移

「例えば東南アジアの豊かな農業地帯であるメコン川流域では、今までコメや野菜が作られていた農地が、自動車のタイヤの素材になる天然ゴムプランテーションになってしまいました。さらに、中国をはじめとする肉食の普及で、大量の穀物が家畜飼料として使われるようになりました。トウモロコシなどのバイオ燃料としての利用も、穀物価格の高騰や食料不足に拍車をかけています」(大野氏)  地球温暖化、テロのリスクやパンデミック、食料や水……人類が直面するリスクはそれぞれつながっている。総合的な視点と対策が必要とされているのだろう。 取材・文・撮影/志葉 玲 横田 一 ― このままでは[人類滅亡]の危機 ―
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