更新日:2022年06月29日 10:14
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元九州電力社員が実名で原発反対

◆移住予定がキャンセルに!原発は今や地域振興のお荷物となっている 「原発があるということで、移住予定の人たちにキャンセルされてしまいました」 こう語るのは、鹿児島県薩摩川内市峰山地区コミュニティ協議会会長の徳田勝章氏。同地区は、「あしたのまち・くらしづくり活動賞」で内閣総理大臣賞を受賞するなど、地域振興のメッカとして知られる。 「荒れ果てた山を観光農園として再生させた柳山アグリランドは、年3万人以上が訪れる地域の名所になりました。農業や地域振興の研修者も年3000人、移住を希望する方も増えてきています」
川内原発

原子力発電所展示館より川内原発を臨む。左から1号機、2号機。柳山アグリランドを下りた目の前にある

しかし3.11以後、事態は急転した。柳山アグリランドの麓に川内原発が建っていたためだ。 「3.11後、福島第一原発のような事故が川内にも起こるかもしれないという危機感が住民の中に高まってきました。そこで、1・2号機の安全対策と、3号機の計画中止を川内市長に求めました」 しかし「国の対応を待って考える」という市長の回答に徳田氏は失望したという。 「地元自治体も積極的に動いて、国が動かないのならその尻を叩いて動かすべきですよ」 徳田氏は元九州電力の社員で、原発の立地を担当してきた。 「九電に入社して30年以上、一貫して『立地屋』を務めてきました。原子力発電所を設置するため、『チェルノブイリのような事故は日本では絶対に起こらない』と原発の安全性を説得してきました。玄海原発の3・4号機、川内原発の1・2号機の立地にも関わりました。最後の仕事は川内原発3号機の増設についてでした」
峰山地区

峰山地区、川内原発から10km圏内にある県道沿いに建てられた看板。一本の道を隔てて原発推進派と反対派が対峙している

97年に峰山地区に移り住んだ後、原発はそれほど地域振興に役立たないのではないかと思うようになったと徳田氏は語る。 「徳田は九電で立地対策をしていたのに、今なぜ再稼働に反対してるのかと言われます。私は、コミュニティ協議会という住民組織の代表として、住民の利益・安全を守ることを第一に考えているんです。それは福島原発の事故以前と一貫して変わりません。そもそも、峰山地区への原発の恩恵は直接的にはありません。例えば、九電の社宅は川内市の街中にあり、原発のそばにはない。補助金も川内市に入るだけで、峰山地区に還元されることはありません。 川内原発立地の補償金として漁協には62億円が支払われていますが、峰山など陸部のコミュニティには1円も落ちていません。私たちは、新設される南九州道高江インターに、地産品の販売をする『道の駅』やレストラン、児童・高齢者福祉施設などをあわせた複合商業生活施設を作りたいと思っています。雇用力のある再生可能エネルギーの研究施設なども誘致したい。しかし、九電はそういうことには見向きもしません」 ※【後編】に続く⇒https://nikkan-spa.jp/106061 福島原発の事故原因を津波のせいにしていいのか? 【徳田勝章氏】 徳田勝章55年、九州電力に入社。本社広報課長、川内原子力発電所次長、後に社長直轄の嘱託として、一貫して原発立地対策に務める。97年に峰山地区に戻り、05年から峰山地区コミュニティ協議会会長を務める ― 原発を造った男たちの原発批判を聞け【3】 ―
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