ジェシー・ベンチュラの野望――フミ斎藤のプロレス講座別冊 WWEヒストリー第68回
WWEのTVショーの画面から姿を消したベンチュラは、地元ミネアポリスのAMラジオのディスクジョッキーを経て、1990年11月、ミネソタ州ブルックリンパーク市の市長選に立候補し、現職の候補を退けて初当選を果たす。選挙公約は「ミネソタの川で釣りができるように」だった。政治家になったベンチュラは環境問題のスポークス・パーソンになった。
それからさらに8年後、こんどはミネソタ州知事選に立候補し、76万票を集めてまさかの当選(1998年11月3日)。民主党、共和党の有力候補を退けての初出馬―初当選の大番狂わせにアメリカじゅうが驚いた。
ミネソタの“モーニング・ラジオの声”だったベンチュラのわかりやすい政策、選挙公約が世代を超えた有権者、とくに独立票(浮動票)を動かし、州全体の投票率は州知事選としては全米一の60パーセントまで上がった。ベンチュラのなかではベトナム戦争とプロレスと映画俳優としての体験がひとつの線でつながっていた。“元プロレスラー”は本気でアメリカの改革をめざしたのだった。(つづく)
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文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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斎藤文彦
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