更新日:2022年07月04日 11:46
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北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した――小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】

そして、デリーを経由してラダックへと向かった。 シーズンであれば陸路で行く事も可能なのだが、冬の間は雪で道路が遮断されているため飛行機で向うこととなった。かなりスレスレを飛ぶ低空飛行に少しヒヤヒヤしながらも上空から見下ろす雪景色のヒマラヤ山脈は想像以上に圧巻であった。 ⇒【写真】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=1094580 北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した――小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】強引にターンしながら降下体制に入り3600メートルの高地へと降り立つ。 北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した――小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】数年前にチベットに行った時もそうだったが、ダイレクトに3600メートルもの高地に飛ぶと高度順応がされておらずちょっと気を抜いて早歩きしようもんなら酸素が薄くて頭がクラっとしてしまう。特にホテルなどの建物内にいるとつい高所という事を忘れてしまいがちで、階段を登るだけで息は切れ頭が重くなる。なので高所に順応するために2日間くらいはウェイティングしなくてはならない。簡単な観光はできるがあまり無理も出来ないのでとにかく宿にいる時間が長かった。 しかし、ちょうどこのタイミングで僕が関わってる仕事の大切なリリースがせまっていたので、必死の遠隔作業をすることになったのだ。さすがに富士山くらいの高所ということもありネットも含め電波環境は全くよくないのだがトレッキングスタートしたらそれこそ一切つながらなくなるので、この機会を有効につかう事にした。LINEで指示をだし、寝ている間に小さいファイルにしてもらった映像をダウンロードしてチェックしては、内容の戻しをする。出発までの限られた時間の中で必死の作業。迫り来るタイムリミットはまるで007のミッションをこなしているかのようだった。結果、時間ギリギリで何とか無事情報をアップすることができた。 地上でこのリリース情報を見た人はまさか3600メートルのインドの秘境で作業したものなんて知る余地もないのだが、これがまさに現実だという事がなかなか自分ではおもしろかった。 ちなみに高所という利点もそれなりにあって、酸素が薄いので余計な事を考える余地がない分か、ちょっとしたハイな状態になりチャクラが開いたかのように面白いアイデアが降ってくる。それこそ高所合宿なんてすればクリエイティブな面白いアイデアがバンバン出てきそうなくらい、日常では全く体験できない環境が逆に気分を高揚させたのだった。 2日間滞在した場所はラダックのレーという街だったのだが、インドの雰囲気は一切なく、生活している人々もどちらかというとチベット人に近い感じの人々ばかりだった。 ここはパキスタン・中国という2国に隣接している特殊な場所柄、軍事的理由によって1974年頃まで外国人が一切入れず、長い間閉ざされていて、それこそチベットよりもチベットらしい文化が色濃くのこっている地で、まさに天空の国という言葉が相応しい場所だった。 バラナシで連絡をとったガイドとも合流しこれから始まるトレッキングの予定を打ち合わせした。冬のラダックは多くの登山道が雪で閉鎖されているためトレッキングコースの選択種はほとんどなく、また氷河のインダス河を渡るチャーダートレックというツアーも時期はすぎていたため、選択肢は複数のゴンパ(寺院)に立寄りながらキャンプするものと、スノーレオパード(ユキヒョウ)を見るトレッキングコースしかなかった。後者のものは大勢の団体客とひたすらユキヒョウが現れるのを待ちながら山を進むらしいが目的がちょっと望むものではなかったのとあまり大勢のツアーに参加したくなかったので、山奥のゴンパ(寺院)を回るトレッキングコースを選ぶことにした。 北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した――小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】トレッキングのメンバーはガイドと料理人、ヘルパー、バックアップカーの運転手。この時期は他の客がいないので完全に僕一人のためだけにつくことになったのだが、最初は正直なぜこれだけの人がいるのか理解できなかった。
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いよいよトレッキングが始まった
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