図々しいって言われても、常にジャンプを意識するくらいの気持ちでいないと
――最近おもしろかった漫画作品や、ライバルだと思う漫画家さんはいますか?
峰:比較される人はいるけど、その人と売り上げを競って勝ったからって、何もいいことないですよね。ていうか所詮ジャンプ作家と比べたらむなしいだけじゃないですか! 同じポジションの人と争ってつぶし合うよりは、仲良くなって共闘したほうが絶対いい!と思っています。
とにかく今はいろんな漫画を量産したい
かっぴー:これもジャンプの話になっちゃうんですけど、
少年ジャンププラスで読んだ『ファイアパンチ』(藤本タツキ)がすごくおもしろかったです! 初めて読んだんですけど、大型新人!て紹介されていて、調べたらウェブ漫画出身の方で。ウェブ漫画に詳しい人はみんな「ようやく始まった!」って盛り上がっていました。僕も、ウェブ漫画で急にチヤホヤされて、おお~っ!てなってたけど、ウェブ漫画のことも全然知らなかったんだなーと思いました。でも、何を見ても、影響されても今みたいな絵しか描けないんですけど、気が狂う前にできることは全部がんばりたいです。メジャーへの憧れもあるので。峰さんはジャンプって読んでました? ジャンプで描きたいって思いますか?
峰:そりゃジャンプで描きたいですよ! ジャンプ、読んでましたよ。『地獄先生 ぬ~べ~』(原作・真倉翔 作画・岡野剛)がこわすぎて、買った後、お父さんに『ぬ~べ~』のところだけ切り取ってもらってから読んでました。小学生くらいのときの話ですけど。
かっぴー:僕も、『ぬ~べ~』と『I”s』(桂正和)を意識しすぎてた時期がありました……。
峰:『I”s』!! 『I”s』を意識しすぎてたってどういうことですか?(笑)。
かっぴー:『I”s』を飛ばす時代と、こっそり読む時代があって……。小学生の途中まではなぜこれをジャンプに!って。なんかちょっと怖くて。でも、だんだん親に隠れてこっそり読むようになって……。
峰:確かに、エロい漫画って、小さいうちはケツが肉感的過ぎて怖い!とかなりますよね。
かっぴー:でも、王道のなかにもいろんな漫画が入っているのがジャンプなんですよね。
峰:『バクマン。』(原作・大場つぐみ、作画・小畑健)のなかで、「初版30万部しか出ねえのかよ!」みたいなセリフが出てくるんですけど、多くの漫画家は「おいおいおい、30万部しかじゃねえよ! これがジャンプかよ! やっぱジャンプすげえ!」てなったと思います。
かっぴー:自分とは違う世界だって思っても、THE王道漫画っていうのを無視しちゃいけないんですよね。「自分は王道ではないところから出てきたから。俺は俺だから」って自分で限界を決めるんじゃなくて、図々しいって言われても常にジャンプを意識するくらいの気持ちでいないと。
峰:そう思います! 漫画に限らず、王道の作品をちゃんと知っておかないと!って。そう思ってこないだ、今まで観たことのなかった『スター・ウォーズ』を観てみたら、やっぱよくわかんなかったんですけどね。有名だから、観たことはなくてもある程度のあらすじは知っているじゃないですか。「あっ、この人(ダース・ベイダー)がお父さんでしょ!」って思って観てたんですけど、話のなかではまだお父さんだって明らかになってなかったりして。そもそも観方を間違っていた……。まだまだジャンプへの道は遠いですね。
【かっぴー】
85年、神奈川の横浜じゃない田舎生まれ。武蔵野美術大学でデザインを学び、09年卒業後は東急エージェンシーのクリエイティブ職に。14年に面白法人カヤックへ転職。自己紹介のつもりで日頃思っている事を漫画で描いて社内向けに公開し、社内で大ウケ。15年9月、描いた漫画『フェイスブックポリス』をWEBサイトへ公開し、大きな反響を呼ぶ。以降、『フェイスブックポリス』の続編『SNSポリス』をはじめ『おしゃ家ソムリエおしゃ子」『おしゃれキングビート!』『裸の王様VSアパレル店員』などWEBメディアでの多数の連載がはじまる。16年4月より週刊SPA!にて『
バズマン』連載開始
【峰 なゆか】
漫画家。週刊SPA!の連載をまとめた『
アラサーちゃん 無修正』1~4巻(以下続刊)、『アラサーちゃん』(KADOKAWA)シリーズは累計50万部を突破する人気作に。グルメサイト・ぐるなびの連載をまとめた実録デート漫画『
女くどき飯』(扶桑社)が好評発売中。現在、週刊SPA!で『アラサーちゃん』、ヌメロトウキョウで『ふんいき美人ちゃん』連載中
<取材・文/日刊SPA!編集部 撮影/福本邦洋>