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V6森田剛のR15指定の演技に注目!映画『ヒメアノ~ル』で“社会の終わってる感”を体現

現代の絶望感という強烈な“毒”

 本作は、岡田が安藤を介してユカと出会い、恋仲になるといったほのぼのとした日常と、森田の憎悪とトラウマに満ち満ちたアナーキーな世界が交差する特異な構成。  森田剛本人が「とても辛かった」と述懐するR15+指定の殺人シーンは、リアリティたっぷりの凄惨なもので、対照的な岡田とユカのラブシーンも消し飛ぶほどだ。  岡田は、凶暴なストーカー(森田)にも柔和なストーカー(安藤)にもならずに、この「終わってる感」をやり過ごそうとしている人物として描かれる。だが、そんな彼も自らの境遇に不安や不満がないわけではない。もし本作に希望的なメッセージを見い出せるとすれば、きっと脱力気味の岡田の存在感にヒントがあるのだろう。  ネタバレになってしまうので詳しい説明は省くが、ラストで森田が叫ぶ「お母さん、麦茶2つ」は、岡田と森田の2人が高校生活を何不自由なく送っていた頃の光景のフラッシュバックだ。そこに血なまぐさい狂気の予兆は微塵もない。  では、いつから岡田と森田は違う道を歩き始めたのか?  そもそも「違う道」などというものがあったのだろうか?  エンタメでありながら臭いものに蓋をしない、現代の絶望感という強烈な“毒”を併せ持つ作品に仕上がった本作。  ぜひ、劇場に足を運んで確かめてほしい。 文/真鍋 厚(評論家)
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