【藤沢数希氏】ギリシャを見習って(!?)イタリア人も借金を踏み倒す

◆マネーな人々 今週の銭格言
【選者】人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏

ギリシャの10年物国債の利回りは20%超となり、破綻は「織り込まれた」「いや、まだだ」などと議論されるが、ギリシャが破綻すると一体どうなるのか? また、なぜドイツがギリシャを救済しないといけないのだろうか?

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公務員天国で、年金支給年齢が61歳(ドイツは65歳)、納税意識がまるでゼロのギリシャ人を、なぜ真面目なドイツ人が救わなければいけないのか?

その答えは銀行にある。10兆円や20兆円などドイツやフランスの経済から見れば楽々負担できるのだが、ギリシャ国債をたんまり持っているのはドイツやフランスの銀行で、ギリシャ国債が吹っ飛ぶと、これらの銀行がヤバい。ギリシャ国債「だけ」なら何とか持ちこたえるかもしれないが、ギリシャ人が借金を返さなくてもOKとなれば、イタリア人も借金を踏み倒す誘惑に打ち勝てなくなる。なんせ70歳過ぎても18歳の女と乱交パーティしている首相を支持し続けた国民だ。借りたカネを踏み倒すなんて屁でもない。イタリアまでカネを返さないと、フランスやドイツの銀行は確実にぶっ飛ぶ。

バブル時に何十億円というボーナスを懐に入れていた大銀行の経営者を、なぜ庶民は助けなければいけないのか? 金融システムが必要不可欠なインフラであり、銀行を破綻させると、ギリシャ人にあげる10兆円よりはるかに高くつくからだ。ユーロ危機を防ぐために日本も資金を提供しようとしている。世界中の納税者が負担して、大銀行が潰れるのを防がなければいけない。自分よりはるかに高い給料をもらっている銀行家を助けるのはムカつくかもしれないが、そうしないと自分が損するのだから、黙って助ける他ない。

しかしドイツやフランスの納税者が愚かな選択をする可能性はある。つまり銀行を助けないことだ。そのせいか、最近は銀行株が下がっている。ルイヴィトンなどのブランドで世界中からカネをむしっているLVMHの時価総額が、フランスの大銀行、BNPパリバとソシエテジェネラルを抜き去った。数年前にはこんなことはありえなかった。銀行家は転職してルイヴィトンやエルメスで働いたほうがいいのだろうか。僕は金融機関に勤務しているのだが、同僚のファッションセンスを見ると、楽観的に見てもそれは前途多難であろう。

【今週の数字】
ギリシャ国債残高
3,000億ユーロ
ギリシャの財政破綻だが、その借金の総額は約3000億ユーロ、たったの30兆円ちょっとである。さすがに全部が踏み倒されるわけではないので、せいぜい10兆円ほどが焦げつくだけだ

ルイヴィトンなどのブランドを展開し勢いにのるLVMHの時価総額はウナギ上り。リーマンショックで急落したフランスの大銀行、BNPパリバとソシエテジェネラルを抜き去った



【藤沢数希氏】
欧米の研究機関にて、計算科学、理論物理学の分野で博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。主宰するブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは6万人に及ぶ。最新刊『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』が発売中

 

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